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7割近くが「延命治療を望まない」現実とのギャップ
厚生労働省『人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査』によると、自分が人生の最終段階を迎えた際に「最期をどこで迎えたいですか?」の問いに対して、「自宅」が最多で43.8%、「医療機関」が41.6%と続きました。
また延命治療については、「胃ろう」は「望む」が7.6%、「わからない」が26.0%、「望まない」が63.3%でした。ほかにも「呼吸が困難になった場合、気管に管を入れて人工呼吸器につなげること」は、「望む」が11.6%、「わからない」が27.9%、「望まない」が57.3%など、延命治療について後ろ向きに考える傾向にあります。
しかし、現実はどうでしょうか。いざ本人が意思表示できない状態になったとき、家族は「何もしない(死なせる)」という選択の重圧に耐えきれず、延命治療を選んでしまうケースは珍しくありません。「本人の望み」と「家族の情」の間に横たわる深い溝。それを埋めるのは、元気なうちに行われる「対話」しかありません。
「父とは、死について話したことなんて一度もありませんでした。『縁起でもない』と避けていたんです」
胃ろう造設から1年後、正造さんは静かに息を引き取りました。最後の数ヵ月は意識もほとんどなく、ただ眠るような状態だったといいます。
「結局、私の選択が正しかったのかは一生わかりません。でも、やっぱり私は父に少しでも長く生きてほしかった、それだけなんです」
その後、雅之さんは自身の妻や子どもたちと、「もしもの時」について話し合う時間を設けたそうです。「生きていてほしい」という家族の願いと、「自分らしくありたい」という本人の尊厳。そのバランスが崩れたとき、延命治療は家族にとって重い決断になります。
もしもの時は突然やってきます。残される家族を後悔で苦しめないために、元気なうちに、もしもの時について語り合うことが大切です。
[参考資料]
厚生労働省『人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査』