独立したはずの子どもが、週末ごとに孫を連れて帰ってくる。「親孝行」のつもりかと思いきや、その実態は、食費を浮かせ、親をタダ働きさせる「実家の搾取」でした――。本記事では、FPの川淵ゆかり氏のもとへ寄せられた相談事例をもとに、現代の親子間マネー防衛術を学びます。※事例は、プライバシーのため一部脚色して記事化したものです。
「ママはお買い物じゃないよ」孫の無邪気な一言に、年金25万円の65歳祖母は凍りついた。実家を〈無料託児所&食堂〉使いする33歳娘の“タダ乗り”【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

増える、働く高齢者

Aさんは物価高が深刻化する前に定年退職となったため、「老後も働く」ということを考えずにリタイアしてしまいました。一方で、年金不足や住宅ローンなどの問題から、70代以降も働く人は増えています。

 

男女別、働く高齢者の割合

〈男性〉

・60~64歳:84.4%

・65~69歳:61.6%

・70~74歳:42.6%

 

〈女性〉

・60~64歳:63.8%

・65~69歳:43.1%

・70~74歳:26.4%

 

※内閣府の令和6年版高齢社会白書より

 

さらに75歳以上の後期高齢者も約12%が働いており(総務省「労働力調査」より)、定年後も働く人は今後も増加してくると考えられます。

 

「定年後にどんな仕事をしたいのか」働く期間が延びている現代、マネープランだけでなく、現役時代から“生涯のジョブプラン”についても考えておく必要があるでしょう。

娘夫婦、Aさん夫婦のその後

その後、1ヵ月ほど経ってから、娘夫婦がAさん宅を訪ねてきました。

 

娘の夫は深く頭を下げて、「最近仕事が忙しく、家庭を顧みなかったために妻には寂しい想いをさせました」と謝罪しました。娘も反省した様子でこういいます。「お母さんのいうとおり、私も働くことにしました。学費もかかってくるし、自分たちの家もそろそろ欲しいしねって。これからの自分たちの暮らしについて2人でしっかり話し合っていきます」

 

娘夫婦が帰ったあと、Aさんは「わたしたちもこれからの暮らしについて、もっと具体的に考えていかないといけないな」と妻に語りかけました。


人口減少や少子高齢化は今後も加速していき、私たちの暮らしに大きな影響を与えます。親世代は自分の生活を守るために独立した子どもとはある程度の線引きが必要です。また、子世代も親に頼りすぎずに自立を考えて暮らしを守っていかなければなりません。

 

2025年もあとわずか。年末にできた時間で、家族と話し合ってみてはいかがでしょうか。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表