(※写真はイメージです/PIXTA)
パラサイトシングル化する出戻り層
晩婚化や未婚化に加え、「離婚による出戻り」が親世帯の家計を圧迫する場合があります。
厚生労働省『令和6年(2024)人口動態統計(確定数)』によると、年間の離婚件数は18万5,895組でした。婚姻件数に対する比率で見ると、およそ3組に1組が離婚している計算になります。特に拓也さんのような働き盛りの世代の離婚は、慰謝料や養育費の支払いなどで経済的な基盤が揺らぎやすく、一時的な避難場所として実家へ戻るケースは少なくありません。
高齢化に伴い、一度実家を出た子どもが、高齢になった親を心配して戻ってくるというパターンも増えていくでしょう。そのため親と同居する未婚の子どもすべてが同じとはいえませんが、学生時代のように親に甘えてしまう、というケースも散見されます。さらに拓也さんのように、経済的にも依存するようになってしまっては、元々脆弱な年金生活者の家計が、より苦しくなるのは明白です。
このような状況を防ぐためには、同居再開の時点で「親子」ではなく「大人同士の同居(シェアハウス)」という契約を結ぶ必要があります。
・家賃や食費として毎月定額を入れる
・自分の身の回りのこと(洗濯、掃除、食事の準備)は自分で行う
・次の住まいを決めるまでの「期限」を設ける
これらをあやふやにしたまま同居を始めると、佐藤さん宅のように親が「世話係」となり、経済的にも精神的にも搾取される関係が固定化してしまいます。一度形成された依存関係を断ち切るのは容易ではありません。共倒れを防ぐためにも、情に流されず、早い段階でルールを明確化することが求められます。
[参考資料]
厚生労働省『令和6年(2024)人口動態統計(確定数)』