(※写真はイメージです/PIXTA)
「俺の金だ!」通帳を突き返した夫の言い分
「もう、言葉も出ませんでした。通帳の減り具合を見せれば少しは反省すると思ったのに、まさか怒鳴られるなんて」
都内に住むパート主婦の田中洋子さん(58歳・仮名)。愚痴の種は、2年前に定年退職し、現在は再雇用で働いている夫・健治さん(62歳・仮名)の金銭感覚についてです。
健治さんは現役時代、大手メーカーの部長職を務めていました。当時は月収80万円、年収は1,400万円ほどで、何不自由ない生活を送っていましたが、60歳で定年を迎えて状況は一変。再雇用後の月収は25万円と、現役時代の3分の1以下になりました。
しかし、健治さんの生活は「部長時代」のままです。特に洋子さんが頭を抱えているのが、週末のゴルフ三昧です。
「現役時代からの付き合いだと言って、毎週のようにゴルフに出かけます。プレー代だけでなく、帰りの飲み代や交通費を含めれば、1回で2~3万円は飛んでいきます。月に10万円近くが夫の遊興費に消えている計算です。お小遣いの範囲でやりくりしてくれれば文句は言いませんが、足りなくなると『カードで払っておいたから』と事後報告。家計管理なんてあったものじゃありません」
洋子さんは将来への不安から、何度も夫に話し合いを求めました。現在の貯蓄額は約2,000万円。退職金で住宅ローンは完済したものの、今後必要になるだろう自宅の修繕や予備費を考えれば、決して余裕のある金額ではありません。
ある週末、またゴルフに行こうとする健治さんを引き留め、洋子さんは家計簿と通帳をテーブルに広げました。「このままじゃ、老後資金が底をつくわ。ゴルフは月1回にして」と懇願したのです。
すると、健治さんの顔色がみるみる変わりました。
「『俺が40年も働いて稼いだ金だ! 何に使おうが俺の勝手だろ!』って、大声で怒鳴り散らしたんです。『俺はまだ現役だ、お前とは違う!』とも。確かに会社には行っていますが、あくまで嘱託社員です。それなのに、自分はまだ高給取りのエリートだというプライドが捨てきれないんでしょうね」
夫の剣幕に押され、その場は引き下がった洋子さんですが、不安は消えません。
「夫の『ねんきん定期便』を確認しましたが、将来受け取れる年金は月18万円ほど。今の生活水準を続けたら、完全リタイアした瞬間に破綻するのは目に見えています。それなのに『貯金が2,000万円もあるんだから大丈夫だ』の一点張りで……」
最近は「離婚」という二文字も頭をよぎるといいます。
「夫がお金を使い果たす前にどうにかしないと……夫婦共倒れになってしまいます」