文部科学省が「グローバル人材」の育成を掲げる昨今、我が子に早期から英語教育を受けさせたいと願う親は増え続けています。2023年に実施された「子どもの習い事と英語学習に関する調査(ゲシピ株式会社)」によると、親が「子どもの頃に習っておけばよかった」と思う習い事の第1位は「英語・英会話」。自身の後悔から、子どもには苦労させたくないと願う親心は切実です。
世帯年収1,150万円の30代夫婦…少し背伸びして長男を入れた「インターナショナルスクール」、初めての遠足で「保護者へのお願い」に驚愕したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

「英語」を諦めないための、現実的な戦略転換

「インターは幼稚園まで」そう割り切った夫婦は、小学校以降の教育プランを根本から練り直すことにしました。

 

目標は「将来、息子が留学したいといったときに、笑顔で送り出せる資金を作ること」。そのためには、小学校からは公立に通い、浮いた学費を確実に貯蓄に回す必要があります。

 

現在、息子さんは年長クラス。相変わらず周りの持ち物は華やかですが、モモさんはもう動じません。「うちはうち。メリハリをつけて、将来のために備える」と腹を括ったからです。

 

高級マカロンは買えないけれど、その分のお金は、将来息子が広い世界へ飛び立つための「翼」になります。

 

「あの遠足での衝撃は、いい薬になりました。あそこで張り合って無理をしていたら、きっと家計が破綻していたと思います」

教育費は「点」ではなく「線」で

早期英語教育への熱が高まるなか、少し無理をしてでもインターナショナルスクールを選ぼうとする家庭は少なくありません。しかし、今回のモモさん夫婦の事例が示すように、そこには学費だけでなく、富裕層のコミュニティに合わせるための交際費やイベント費といった「みえない出費」が重くのしかかります。

 

「学費はギリギリ払えても、その生活レベルには付き合えない」と気づいたとき、どう動くか。モモさん夫婦のように、「インターは幼稚園まで」と割り切り、小学校からは公立へ切り替えて浮いた資金を貯蓄に回すという選択は、経済的に合理的な判断でしょう。

 

目先のブランドや周囲との付き合いという「見栄」を捨て、将来の選択肢という「実」を取る。長期的な視点で資金配分をコントロールすることこそが、親が子どもにしてあげられる、最も確実な教育投資といえるでしょう。