(※写真はイメージです/PIXTA)
我が子には英語教育を
都内在住、31歳のモモさん(仮名)は中小企業に勤務しています。年収は550万円。一つ年上の夫は中堅企業勤務で年収600万円。世帯年収は1,150万円です。都内で子育てをするには決して「超富裕層」ではありませんが、平均的な家庭よりは余裕があるという自負がありました。
「いまの会社に大きな不満があるわけではありません。でも、転職サイトの歓迎条件に『ある程度の語学力』とあるところも多く、もし私に英語力があれば、もっと条件のいい企業に転職できたかもしれない……。そう思うことがあります」
自身のキャリアに対するコンプレックス。それが、息子への教育熱に火をつけました。夫婦で話し合い、長男の幼稚園選びでは思い切ってインターナショナルスクールを選択します。授業料は年間約200万円。自治体の助成制度などを活用すれば、共働きの家計ならなんとかなる金額です。「このまま小学校もインターに通わせるために、幼稚園から英語に耳を慣らしておかなくちゃ」そんな親心でスタートした、モモさん一家のインター生活。
しかし、その見通しは入園最初のイベントであっけなく打ち砕かれます。
遠足の案内
最初の遠足の案内が届きました。そこには、普通の幼稚園とは少し違う記載がありました。
『お菓子を持参する場合は、クラス全員に行き渡る量を持ってきてください』
「えっ、全員分って……」
モモさんは驚愕しました。日本の幼稚園なら「おやつは300円まで」といったルールが一般的です。しかし、ここはインター。シェアするのが文化だといわれればそれまでですが、アレルギーへの配慮や個包装の手間、毎回20人分(少人数制なので学年全員分)を用意する金銭的・精神的負担は小さくありません。
「でも、ここで変なものを持たせて『これだから庶民は』なんて思われたくない」
モモさんの胸に、つまらない見栄が頭をもたげました。モモさんは仕事帰りに高級スーパーに立ち寄り、個包装されたクッキーやチョコレートを20個分、予算は3,000円ほどで購入。「これなら見劣りしないはず」そう、遠足のリュックに詰め込みました。