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「月2万円」のはずが…想定外の「実費」
都内在住の佐藤篤さん(55歳・仮名)。最近、母親の静子さん(80歳・仮名)が介護付き有料老人ホームに入居したといいます。
「入居前に、同じように親を施設に入れていた友人から費用の話を聞いていたんです。『月額利用料にプラスして、おむつ代とかの雑費が月2万円くらいかかるかな』と。だから、そのつもりでいました」
佐藤さんが選んだ施設は、パンフレット上では「月額利用料 25万円」。その他に「介護保険自己負担分」と「その他実費」がかかること、もちろん説明を受けていました。
「その他実費については、見学の際にも『おむつ代や理美容代、レクリエーションの参加費などですね』と聞いていました。友人の話もあったので、介護保険の自己負担(1割)が約2万5千円だとして、実費が2万円なら、合計30万円弱。何とか年金と私の援助で賄えるだろうと試算していました」
入居から1ヵ月が経ち、初めての請求書が自宅に届きました。佐藤さんは封筒を開け、その内訳を見て思わず息をのみます。
「月額利用料 25万円、介護保険自己負担 2万5千円。ここまでは計算通りです。しかし『その他費用』という欄に、7万円と記載されていました。『たっ、高い! 2万円じゃなかったのか!』と、声が出ましたね」
慌てて明細を確認すると、そこには「おむつ代(施設指定品)」「日用品費(ティッシュ・歯ブラシ等)」「レクリエーション参加費(複数)」「提携外医療機関への送迎費」などが細かく並んでいました。
「特に高かったのが、おむつ代と日用品費でした。施設に確認すると、『昨今の物価高騰の影響で、仕入れている介護用品や日用品が軒並み値上がりしておりまして……』と。友人が親を入居させたのは数年前。その頃の『2万円』という感覚は、現在の物価高のなかでは通用しなかったみたいです」
月額利用料という大きな金額にばかり目が行きがちですが、この「その他実費」が想定以上に膨らむ可能性を、佐藤さんは見落としていました。「毎月これが続くとなると、当初の資金計画を根本から見直さなければならない」と、佐藤さんは肩を落とします。