投資詐欺の手口はどんどん巧妙化し、最近ではSNS型が注目されます。一方で、実は昔ながらの手法が今なお主流である実態は見過ごされがちです。いま本当に警戒すべき詐欺の手口と、その実態について、ある親子のケースでみていきましょう。
72歳母「ふふふっ、本当にいい人なの」と弾んだ電話だったが…東京在住・48歳息子、実家帰省で知った「衝撃事実」に絶句 (※写真はイメージです/PIXTA)

「SNS型」だけではない。いまなお主流の「電話営業」と「不動産投資」詐欺

親切心を装って高齢者に近づき、不利益な投資契約を結ばせる手口は後を絶ちません。オンライン株式スクール/株の学校ドットコムが20代から70代の男女6,000人を対象に実施した調査によると、実際に投資詐欺の被害に遭った経験がある人は4.7%(およそ20人に1人)に上りました。

 

さらに、「被害には遭っていないが、勧誘を受けたことがある」人は12.2%。この2つを合わせると、投資詐C詐に遭遇した経験がある人は16.9%、実に「6人に1人」という高い割合になります。

 

この遭遇率は年々増加傾向にあり、資産形成への関心の高まりが、皮肉にも詐欺師のターゲットを増やす結果につながっています。

 

最近では、有名人を騙る「SNS型投資詐欺」が連日ニュースを騒がせていますが、詐欺に遭遇したきっかけ(複数回答)を尋ねたところ、最も多かったのは「電話営業を受けた」で、実に41.6%。これは2位以下(「インターネット広告」18.5%、「SNSで知り合った人」15.4%)を大きく引き離す数字です。

 

SNS詐欺が急増しているとはいえ、依然として昔ながらの「電話営業」が、詐欺の主たる入り口であり続けているのです。また、調査では「突然電話がかかってきて、自分の住所や電話番号を知っていたので怖かった」という声も寄せられており、詐欺師側が何らかの名簿を入手し、相手にプレッシャーをかけている実態も浮かび上がります。

 

さらに注目すべきは、勧誘された投資話の内容(複数回答)です。SNS型詐欺で多い「株やFXの自動売買システム」(18.6%)や「海外の株式や事業」(18.1%)を抑え、最も多かったのは「ワンルームマンション投資」(20.2%)でした。

 

これは、健一さんの母親が勧誘された手口とまさに合致します。「節税になる」「老後の年金代わりになる」「生命保険の代わりになる」といった、将来の不安を巧みに突くセールストークが使われますが、実際には相場より高値で物件を掴まされたり、空室リスクの説明が不十分だったり、家賃保証が一方的に打ち切られたりするトラブルが多発しています。

 

資産形成が重要であることは間違いありませんが、「簡単に儲かる」「絶対に損しない」「高利回り」といった言葉には警戒が必要です。良子さんの事例のように、「いい人だから」という理由で契約を判断するのは最も危険です。「おかしい」と思ったら、その場で判断せず、家族や友人、警察(相談専用窓口 #9110)や消費者ホットライン(188)に必ず相談するようにしてください。

 

[参考資料]

株式会社トレジャープロモート『【投資詐欺の実態調査】6人に1人が詐欺に遭遇、実は「SNS」よりも「電話営業」が約3倍多い』