高齢化が進む中、親や自身の老人ホーム選びは多くの人にとって切実な問題です。インターネットの口コミで「星5つ」と絶賛される施設だとしても、入居者にとって「星5つ」とは限りません。家族の視点と本人の満足度には、時に大きな隔たりが生じている場合もあるようです。
ここから出して!〈年金月20万円〉82歳母、号泣。口コミ5つ星を信じるも〈たった3日〉で退去…「老人ホーム選びの後悔」上位5つ (※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホーム選び…入居後の不満、トップは「想定以上にお金がかかる」

達也さんのように、口コミを重視して老人ホームを選ぶ人はどれくらいいるのでしょうか。

 

株式会社LIFULL/株式会社LIFULL senior『介護施設入居実態調査 2025』によると、老人ホームを探すときに金額と立地以外で重視したものとして、最も多く挙がったのが「スタッフの質・雰囲気」(32.4%)。次いで「すぐ入居できるか」(32.2%)、「医療体制」(28.2%)、「室内の清潔さ」(25.1%)、「入居者の雰囲気」(24.2%)、「人員体制の手厚さ」(23.0%)と続きます。「口コミ・評判」も17.8%と、老人ホーム選びの際には重要な判断基準になっているようです。

 

一方、老人ホーム入居前に想定しておらず、入居後に不満を抱いたこととして、最も多く挙がったのが「想定していたよりもお金がかかる」(24.2%)。「面会が制限され、なかなか会えない」(20.4%)、「入居者の身体状態・認知機能が悪化した」(18.7%)、「受けられると思ったサービスが受けられない」(14.7%)、「食事が入居者の口に合わなかった」(14.1%)が、上位5つ。

 

良子さんの場合、費用や立地、見学時の「見た目」はクリアしていましたが、「スタッフの対応」や「食事」、「施設の雰囲気(他の入居者との関係)」という点ではミスマッチだったようです。

 

インターネット上の口コミや評価は、情報収集の入り口としては有用ですが、それがすべてではありません。高評価は「その人にとって」良かったという側面に過ぎない可能性もありますし、見学時は施設側も「良い面」を見せていることが一般的です。入居者か、それともその家族かによっても、施設の評価は変わるでしょう。

 

結局は口コミなどの第三者の評価を鵜呑みにせず、「入居する本人」の性格や生活スタイル、何に重きを置くかを深く理解したうえで、施設側とすり合わせることが重要です。また入居者との相性など、見学だけではわからないこともあります。良子さんが入居したホームのように、入居者を幅広く受け入れている場合、自立の人と、要介護の人のバランスはしっかりと確認しておきたい項目です。

 

「母は一度、自宅に戻りました。良いホームではあったものの、今の母との相性は良くなかったみたいです」

 

[参考資料]

株式会社LIFULL/株式会社LIFULL senior『介護施設入居実態調査 2025』