親が亡くなったあと、多くの遺族が直面するのが「遺品整理」です。約半数が何らかの形で関わっているという調査もありますが、実際には「何を捨ててよいか迷った」「量が多すぎる」など、多くの課題が伴います。 こうした負担を減らすために「生前整理」の必要性が指摘されていますが、実際にはどれほど進んでいるのでしょうか。最新の調査から、遺品整理のリアルな実態と課題を探ります。
こんなもの、いつの間に…〈年金月8万円〉の80歳母、逝去。遺品整理で知った「最後の嘘」に52歳娘、驚愕 (※写真はイメージです/PIXTA)

遺品整理で困ったこと…最多は「何を捨ててよいか」

陽子さんのように、遺品整理の場で初めて親の知られざる資産や想いに触れ、驚く遺族は少なくありません。

 

一般社団法人終活協議会が2025年に行った調査によると、「遺品整理」という言葉を「知っている」(「よく」と「なんとなく」の合計)人は89.5%にのぼります。 また、実際に「自分で経験した」または「家族・親族の手伝いをした」人は合計44.3%と、約半数が何らかの形で遺品整理に関わっている実態が明らかになりました。

 

陽子さんのケースでは幸いにも日記によって資産のありかが判明しましたが、整理が難航するケースも多いようです。 同調査で「遺品整理で最も困ったこと」を尋ねたところ、「何を捨ててよいか迷った」(18.8%)が最も多く、次いで「量が多すぎて終わらなかった」(13.9%)、「時間や体力的に負担が大きかった」(10.5%)と続きました。

 

また、処分に迷う背景として、「処分できなかったもの」として「写真・手紙・アルバム」(31.9%)が突出して多いことからも、物理的な「物の量」だけでなく、故人との思い出の品をどう扱うかという心理的なハードルがあることがうかがえます。

 

こうした遺族の負担を減らすためか、「生前整理」を進めておくべきだと考える人は合計89.7%と約9割に達しています。 しかし、実際に「自分自身の死後に備えて整理をしている」(「すでに進めている」「少しずつ始めている」の合計)人は22.6%にとどまっており、必要性は感じつつも実行に移せていない現状が浮き彫りとなりました。 陽子さんの母が日記を遺したように、元気なうちに意思や物のありかを伝えておくことが、残される家族の負担を減らす鍵となりそうです。

 

「本当に、母には驚かされました。『お金がない』という言葉をそのまま受け取って、ずっと心配していたものですから。でも母が日記のなかにメッセージを遺してくれた、それを見つけることができた――私たちは幸運でしたね」

 

[参考資料]

一般社団法人 終活協議会/想いコーポレーショングループ『【2025年最新調査】遺品整理で最も困ったのは「何を捨ててよいか迷った」 生前整理への関心高まる』