(※写真はイメージです/PIXTA)
借りても返せる社会へ…企業に求められる「奨学金」の制度改革
Aさんのように、苦しい環境でも学びを続け、社会に貢献する人材が増えれば、日本の未来は変わるはずだ。
だが現実には、奨学金=借金というイメージから進学を諦める若者や、奨学金を利用して進学した人であっても、返済負担の大きさから結婚・出産・自己投資を先送りにしたり、諦めたりするケースも少なくない。
こうした現状を踏まえると、奨学金は「借りても返せる社会的サポート」でなければならない。企業は「人材が足りない」「優秀な人を採用したい」と嘆く前に、未来の人材を育てるための社会的投資を考える必要がある。そのひとつが「奨学金の代理返還制度」だ。これはCSR活動ではなく、“未来の人材育成”に直結する経営戦略である。
教育格差の是正は、社会全体の再生産力を高める。企業がその一翼を担うことこそ、持続可能な社会づくりの第一歩だと私は考えている。
〈参考〉
一般財団法人あしなが育英会「あしなが高校奨学金 過去最多1878人を採用」
https://www.ashinaga.org/media/news/24877/
厚生労働省「2022年(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/14.pdf
認定特定非営利活動法人キッズドア「模試を受けられない子ども達——経済格差が生む教育格差」
大野 順也
アクティブアンドカンパニー 代表取締役社長
奨学金バンク創設者