住宅ローンと教育費の「二重苦」。40代~50代の働き盛りにとって、家計のやりくりは大問題。給与が上がらないなかでの物価高も追い打ちをかけます。もし、そんな火の車の状況で、地方に住む親から「上京」を宣言されたなら……ある親子の例をみていきます。
 もう無理だ…〈手取り月38万円〉45歳のサラリーマン。ローンと学費で火の車だが、田舎の母の「上京宣言」に撃沈 (※写真はイメージです/PIXTA)

「親の呼び寄せ」という現実。今から準備すべきこと

総務省統計局『家計調査 家計収支編 2024年平均』によると、2人以上の勤労者世帯のうち、世帯主が45~49歳の世帯では、1ヵ月の消費支出は約36.9万円。そのうち「住居費」や「教育」費が大きな割合を占めています。野田さんのように手取り38万円でも余裕がないというのは、統計的に見ても珍しいことではないのです。

 

そこに親の老後という問題が加わります。内閣府『令和6年版高齢社会白書』によると、65歳以上の一人暮らしの高齢者は増加傾向にあります。子が都市部で暮らし、親が地方で1人暮らしという世帯は多く、親が後期高齢者(75歳以上)になると、子の多くが「呼び寄せ」や「介護」の問題に直面します。

 

もし高齢の親と同居することになったら……。株式会社AlbaLinkが親と離れて暮らしている社会人を対象に行った調査によると、親と同居するメリットとして、「金銭面で楽になる」という回答が最も多く半数近くを占めました。一方でデメリットとして、8%と少数ながら「金銭面で負担が増える」を挙げる人もいます。結局は、親がどのような経済状況で子ども家族と一緒になろうとしているかによるのです。

 

親の呼び寄せが浮上したら、感情的にならずに現状を整理することが不可欠です。親自身が持つ資産(貯蓄や年金受給額)を正確に把握し、そのうえで「どこに住むのか(同居・近居・施設)」「月々どれくらいの費用がかかるのか」を具体的に試算する必要があります。

 

厳しい家計運営を迫られるなか、親との同居がプラスに働く可能性も大いにあります。同居のルールをしっかりと決めて守ることさえできれば、高齢の親と住むのも有力な選択肢になるかもしれません。

 

「同居は難しいという話をしたら『はぁ!?』という顔をされました。こっちにあるホームに入るつもりだと。そんな金、どこになるのか……不安はつきません」

 

[参考資料]

総務省統計局『家計調査 家計収支編 2024年平均』

内閣府『令和6年版高齢社会白書』

株式会社AlbaLink『【親と同居するメリット・デメリットランキング】男女500人アンケート調査』