賃貸住宅で外国人入居者とのトラブルを経験した人が約3割に上ることが最新調査からみえてきました。騒音やゴミ出し、臭いといった文化の違いによる摩擦の実態が判明。単なるマナー違反では済まされない問題に対し、「罰則」と「歩み寄り」、どちらが有効な解決策となるのでしょうか。
毎日グリーンカレーを作るから…隣人トラブル3割が「外国人」。解決の鍵は「罰則」か、それとも「歩み寄り」か (※写真はイメージです/PIXTA)

トラブルの根源は「伝わらないこと」

これらのトラブルを防ぐために有効なことは何でしょうか。

 

最も多かった回答は「しっかりルールを説明する」(55.6%)で、過半数を占め、単に契約時だけでなく、継続的な説明の重要性を指摘する声が目立ちました。「契約時だけでない、複数回にわたる丁寧なルールの説明」(40代 男性)や、「一度では覚えられないだろうし、忘れてしまうと思う。掲示板に貼り紙したり、都度メールやLINEを利用して知らせると良い」(50代以上 女性)といった意見です。

 

次いで多かったのが「多言語で対応する」(28.0%)。ルールを説明しても、相手が理解できる言語でなければ意味がありません。回答者からは「多言語でのゴミ分別マニュアルやゴミ分別カレンダーの完備」「入居ルールの多言語マニュアル」「不動産会社に外国人専用相談窓口を設置」(40代 女性)などが具体的に提案されました。調査によると、一部の不動産管理会社が導入している「翻訳アプリを使った24時間の外国人対応窓口」を評価している人もいました。

 

一方で、より強制力のある対策や、第三者の介入を求める「罰則規定を設ける」(3位・14.6%)という意見も。「契約違反した場合は、速やかに退去してもらう。厳しくしないと守らない」(40代 女性)、「日本人が海外に住むときも居住国のルールに従うのだから、『日本では何でも許されるわけではない』と理解してもらうべき」(50代以上 女性)など、公平性を保つための手段として罰則が必要という考え方です。調査では、明文化されたルールと罰則を設け、しっかり説明したうえで、厳格に執行するべきという意見が多かったと分析しています。

 

少数意見としては、6位「入居審査を厳しくする」、7位「居住エリアを調整する」。「事前審査をかなり厳しくする。日本語レベルが高い外国人に絞る」(20代 男性)といった審査強化の意見や、「外国人専門の物件を作ってほしい」(30代 女性)といった、いわゆる「住み分け(ゾーニング)」を求める声も。これらは接点が少なくなれば摩擦は減るという考え方ですが、相互理解の促進にはつながらない側面もあります。「ルールを守る意思はあるが日本語がまだ上手ではない外国人」が排除されてしまう懸念も残ります。

 

今回の調査結果では、賃貸物件で起こる外国人とのトラブルは、「外国人だから」ではなく、「文化やルールの違いを共有しきれていないこと」に原因があると、多くの人は考えていることがわかりました。トラブルの上位である騒音やゴミ出しは、日本人同士でも起こり得る問題。だからこそ、外国人に対しては特に「多言語対応」と「丁寧なルールの説明」が求められています。

 

[参考資料]

株式会社AlbaLink『外国人入居者とのトラブルに関する意識調査』