賃貸住宅で外国人入居者とのトラブルを経験した人が約3割に上ることが最新調査からみえてきました。騒音やゴミ出し、臭いといった文化の違いによる摩擦の実態が判明。単なるマナー違反では済まされない問題に対し、「罰則」と「歩み寄り」、どちらが有効な解決策となるのでしょうか。
毎日グリーンカレーを作るから…隣人トラブル3割が「外国人」。解決の鍵は「罰則」か、それとも「歩み寄り」か (※写真はイメージです/PIXTA)

外国人入居者とのトラブル、3割が経験

株式会社AlbaLinkが賃貸物件に住む500人を対象に行った『外国人入居者とのトラブルに関する意識調査』によると、外国人入居者とのトラブルを「経験したことがある」と回答した人は31.6%に上りました。「周囲で見聞きした」という人も約3割おり、多くの人が賃貸住宅における外国人との問題を身近に感じている実態が明らかになりました。

 

具体的にどのようなトラブルが起こりやすいのでしょうか。

 

圧倒的に多かったのが「騒音を出す」(71.4%)。2位以下を大きく引き離しており、最大の懸念事項であることがうかがえます。寄せられた具体的な体験談としては、「木造アパートで隣人が毎晩大音量の音楽を流していた」(20代 男性)、「足音や生活音が大きく、階下に響く。よく集まりを開き騒音がある」(30代 女性)、「スマホでの会話でも、スピーカーにして大きい声でしゃべる」(40代 男性)といった声がありました。

 

調査の考察によると、音の感じ方や静けさの重要性は、文化によって大きく異なることが指摘されています。日本の住宅、特に木造家屋は音が響きやすい構造です。多くの日本人は集合住宅では静かに過ごすことを心がけますが、外国人入居者がその構造的な違いを理解していない場合、母国では普通の生活音であっても、日本では「騒音」として受け取られてしまいます。「外国人の部屋に友人が多数集まって夜中まで騒ぐ」といった、パーティー文化の違いを指摘する声も多く寄せられました。

 

2位には「ゴミ出しルールを守らない」(33.0%)が入りました。「騒音」と「ゴミ出し」が、外国人入居者トラブルの二大要因。「出してはいけない曜日にゴミを出し、カラスに食い荒らされる」(30代 女性)や、「分別せず指定の袋も使用せず、回収日じゃないのに平気で出す。夏には臭いがして大変だった」(50代以上 女性)といった実害を伴う声が挙がっています。

 

調査によると、日本のゴミ分別ルールは地域ごとに細かく、日本人ですら自治体をまたいで引っ越すと、最初は戸惑うことがあります。日本のルールや日本語での説明書きを十分に理解できない外国人にとっては、そのハードルはさらに高くなります。

 

3位以下には、「共用部分の使い方が悪い」、「臭いがきつい」(4位)、「物件のルールに違反する」(5位)が続きました。

 

3位の「共用部分の使い方」では、廊下やエントランスへの私物放置、駐輪場所のルール無視などが挙げられました。調査では、日本では共用部を皆で清潔に保つことが前提とされるのに対し、文化によっては「使えるスペースは、自分の好きなように使って構わない」という考え方をする人もいるため、摩擦が生じやすいと分析しています。

 

4位の「臭い」については、香辛料の強い料理やお香など、食文化や宗教的な習慣の違いが原因となっています。「お香の匂いが独特で、洗濯物に匂いがうつった」(30代 女性)、「別の部屋の住人がグリーンカレーを毎日作るので、周囲数メートルまでスパイスの匂いがした」(30代 男性)といった声がありました。調査のコメントでは「食文化の違いなので仕方ない」と、一定の理解を示す意見も見られたようです。

 

5位の「物件のルールに違反する」は、騒音やゴミ出しとも関連しますが、より広範なマナー違反を指しています。調査では、日本人には「当たり前」でも、外国人にとっては「知らない」「想像もつかない」「重要性がわからない」といったルールが少なくないと分析しています。さらに、日本語が難しいために配布された入居ルールを読めていない可能性を挙げた人もいました。