「将来、働けばなんとかなる」── 学生時代、そう信じて借りた数百万円の奨学金。しかし、その決断を下す18歳の時点で、予期せぬライフスタイルの変化まで正確に予測できる人がどれほどいるだろうか。本記事では、アクティブアンドカンパニー代表の大野順也氏がAさんの事例とともに、奨学金という重荷を背負った若者の実態に迫る。
奨学金を借りたことを後悔しています…出版社志望で上京した女性。大学3年生の1月、深夜1時の母からの電話で「夢が散った日」 (※写真はイメージです/PIXTA)

企業に求められる役割

給料は30年間ほぼ横ばい、日本経済も成長が停滞し、老後資金は2,000万円あっても足りないといわれる時代。そんななかで、奨学金を借りて大学に進学し、給与の高い会社や福利厚生の充実した会社を志望する学生を「甘えている」と片付けてよいのだろうか。

 

むしろ、こうした社会をつくりあげてきたのは大人たちであり、企業もその一端を担ってきた。人手不足を嘆くのではなく、若者に選ばれ、長く働き続けてもらえる組織をつくることが今後の課題である。

 

選ばれる企業となるためには、奨学金返済支援を「若者支援」として位置づける必要がある。奨学金の負担をともに背負う姿勢をみせることが、結果として企業の未来をも支えることになるのではないか。

 

〈参考〉

マイナビキャリアリサーチLab.

2026年卒 大学生キャリア意向調査6月<奨学金について>

https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250725_98696/

 

2026年卒 大学生キャリア意向調査8月<学生の働くイメージと不安>

https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250925_101435/

 

2025年卒大学生就職意識調査

https://career-research.mynavi.jp/reserch/20240416_74092/

 

2026年卒 大学生キャリア意向調査3月<就活生のワークライフバランス意識>

https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250425_95641/

 

 

大野 順也

アクティブアンドカンパニー 代表取締役社長

奨学金バンク創設者