子どもにとって、「文字を読む」作業と「内容を理解する」作業を同時に行うのは、脳に大きな負荷がかかっています。読んだそばから内容が抜け落ちてしまうのは、この「ワーキングメモリ」の負荷が原因かもしれません。「読み聞かせ」は、親が「読む」作業を代行することで、子どもが「理解(心内表象化)」に集中できる最強のトレーニングです。本記事では、船津洋氏著『「地頭力」を鍛える子育て:自ら学び、考える力がアップする確かな方法』(大和出版)より、読み聞かせが子どもの「分かる力」を育てるメカニズムと、子どもの脳の働きを最大限に引き出す正しい読み聞かせについて解説します。
絵本を熱心に読み聞かせしていても…子どもの“理解する力”を奪う「親のNG行動」3つ (※写真はイメージです/PIXTA)

絵本読みの作法と絵本のその先

心内表象化の能力を育てるために、絵本を読む際に心がけることがいくつかあります。知っておきましょう。

 

1.指差しをしない

文字の指差しも、絵の指差しも不要です。子どもの仕事は絵を眺めながら、耳を傾け意味を把握することです。脳の中はブラックボックスと書きましたが、絵本読みをしているときに、子どもが何を思い浮かべ、どの箇所を見ているのかは気にしなくていいのです。

 

2.説明しない

絵本は絵本自体で完結しています。母親の音声と眼の前の絵の世界、それと子どもの頭の中に結像しているイメージがあれば十分です。理解を促すために説明をしているつもりでも、その説明を理解しているかどうかは分かりません。それであれば、子どもの自由に任せるのが一番です。もちろん、子どもが絵本読みの最中に内容について話してくることもありますが、そんなときは「そうなのね」と軽く流して、先に読み進めましょう。

 

3.内容について聞かない

内容について後で質問するのは厳禁です。子どもが話をしてくるのであれば、自由に話をさせてあげれば良いでしょう。理解がズレていたとしても、あまり指摘する必要はありません。もし、絵本読みのたびに親が内容を確認するようなことがあると、子どもは身構えてしまいます。すると、理解ではなく記憶しようとするのです。これは避けましょうね。

 

4.絵本を卒業したらオーディオブック

小説、物語、落語などは耳からの理解力を高めるのに適しています。オーディオブックのサービスを利用すれば、プロのナレーターが朗読した音声で多種多様な本に触れることができます。手軽に取り組めるので、テレビを消して、ゲームやスマホの代わりに、ひとり遊びのとき、工作をしているとき、実験をしているときなどに背後に流しておきましょう。

 

 

船津 洋

株式会社児童英語研究所

代表取締役所長