仕事のストレス、人間関係の疲れ、将来への漠然とした不安。そんな息苦しさから、SNSでみかける「シンプルな暮らし」や「持たない生活」に憧れを抱く人は少なくありません。モノを手放すことで得られる解放感は、確かに魅力的です。しかし、そんな生活がエスカレートしていくと……。※紹介する事例は、著者である川淵ゆかりFPの過去の相談者であるA子さんから許可を得て、個人の特定を避けるため一部脚色したものです。
「ミニマリスト」の月収29万円・30歳独身女性、増え続ける通帳残高にニヤけるも…訪ねた母親も思わずあんぐり。過激な“ストイック生活”の実態 (※写真はイメージです/PIXTA)

本当に「残すべきもの」に気づくまで

いまでも救急車に乗せられたことは「大きなお世話だ」と感じているA子さん。それでも、出社してすぐにB子さんのもとへ向かい、きちんとお礼を伝えました。

 

相変わらずB子さんのことは少し苦手です。でも、なぜかほんの少しだけ、彼女のことが好きになっていました。

 

「ちゃんと食べてる? お昼、一緒に行こうか?」B子さんの誘いに、A子さんは頷きます。

 

「そうね。……あと、後輩の教育の相談も乗ってくれる?」「あはは、いいよ!」

 

B子さんは、いつものように豪快に笑ってくれました。

 

本来のミニマリズムは、“自分にとっての最適”を選ぶこと。A子さんは少しだけ間違った方向に進んでしまったようですが、大切なことに気づけたようです。 節約もミニマリズムも、“なにを残すか”が一番大切なのかもしれませんね。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表