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「いつか」は突然やってくる…親子で備えるべき介護の現実
親の介護が突然始まり、経済的・精神的な負担に直面する――決して珍しいことではありません。親の介護に備えるために、私たちは何を理解しておくべきでしょうか。
まず、介護費用の要となるのが介護保険制度です。65歳以上の場合、本人の合計所得金額が160万円未満であれば1割負担。本人の合計所得金額が160万円以上220万円未満であれば、ほかの条件により1割、または2割負担。本人の合計所得金額が220万円以上であれば、ほかの条件により、1~3割負担になります。
介護費用が高額になった際の救済措置として「高額介護サービス費制度」があります。これは、1カ月の自己負担額が上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。上限額は所得によって区分されているため、いざというときのために、自身の家庭がどの区分に該当するのか、市区町村の窓口などで確認しておくことが重要です。
また、介護にかかる費用は月々のサービス利用料だけではありません。生命保険文化センターの調査によれば、住宅改修や介護用ベッドの購入などにかかる一時的な費用の平均は47.2万円、月々の費用の平均は約9.0万円。また介護費用は介護度により変わり、要介護1の場合は平均月5.4万円に対し、要介護4の場合は平均12.4万円です。
深刻なのは、介護が子の世代のキャリアに与える影響です。総務省の調査では、「介護・看護」を理由とした離職者は年間約10万人程度。本田さんのように収入が減少するだけでなく、離職によってキャリアが中断され、その後の人生設計が大きく狂ってしまうリスクもはらんでいます。
親が元気なうちに、介護が必要になったらどうしたいか、どのようなサービスを利用したいか、費用はどう分担するかを親子で話し合っておくこと。そして、公的な制度を正しく理解し、活用できる準備をしておくこと。突然訪れる「その日」に親子で立ち向かうために、今できる備えを始めることが求められています。
[参考資料]
厚生労働省『介護保険制度の概要』
生命保険文化センター『生命保険に関する全国実態調査[2人以上世帯]/2024(令和6)年度』
総務省統計局『令和4年就業構造基本調査』