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離婚後2年で権利が消える…離婚する17万組超が知らない「離婚協議書」の落とし穴
日本では年間約19万組の夫婦が離婚しており、そのうち約88%にあたる17万組以上が「協議離婚」を選択しています。裁判や調停を経ず、夫婦間の話し合いで合意すれば離婚届を提出できますが、その裏で深刻なトラブルが増えています。その鍵を握るのが離婚協議書。財産分与、養育費、慰謝料、面会交流など、離婚時の取り決めを明文化した契約書ですが、多くの夫婦はこれを作らず、口約束のまま離婚してしまうケースが後を絶たないのです。
「約束していた養育費が支払われない」「面会を拒否される」といった問題が発生しても、書面がなければ証拠がなく、解決までに膨大な時間と費用を要することになります。特に注意すべきは、離婚後の権利請求には時効があるということ。財産分与や年金分割は離婚成立から2年以内、慰謝料請求は3年以内に行わなければ権利が消滅。離婚後に改めて話し合うことは現実的に困難であり、離婚届を提出する前に協議書を作成しておくことが重要となります。
さらに、離婚協議書は作成しただけでは法的強制力を持ちません。養育費などが滞納されても、すぐに給料の差し押さえはできないのです。そこで有効なのが、「強制執行認諾付公正証書」として公証役場で作成する方法。これにより、支払いが滞った場合でも裁判を経ずに強制執行が可能となり、給与の差押えなどを迅速に行えます。費用が発生することがネックではあるものの、将来的なリスクヘッジとして考えれば、選択肢のひとつにしたいもの。
ただし、ネットなどにあるテンプレートをそのまま使うのは危険が伴います。個々の状況に応じて内容をカスタマイズしなければ、法的に不十分な書面となり、かえってトラブルを招く可能性があります。そのため、一度、専門家にチェックしてもらうのがおすすめ。
「一刻も早く別れたい」と切羽詰まった事情もあるでしょう。「話し合いなんてできない」というケースも珍しくありません。離婚を急ぐ場合でも、一度、冷静に条件を整理し、デメリットと天秤にかけて最良の方法を選びたいものです。
[参考資料]
法テラス『離婚に関するよくある相談』