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老後家計を脅かす「孫費用の固定費化」と生活設計の見直し
ソニー生命保険株式会社が全国のシニア(50歳~79歳)の男女を対象に行った『シニアの生活意識調査2024』によると、「この1年間で、孫のためにどのようなことにお金を使ったか」との質問に対し、トップは「おこづかい・お年玉・お祝い金」で65.6%、「一緒に外食」(52.9%)、「おもちゃ・ゲーム」(38.0%)、「一緒に旅行・レジャー」(32.2%)、「衣類などファッション用品」(30.4%)と続きました。
さらにこの1年間で孫のために使った金額を聞いたところ、平均額は10万4,717円。2023年108,134円→2024年104,717円と、3,417円の減少。物価高騰による家計負担増を受け、孫消費を抑えざるを得ないシニアも多いのでしょう。
一方で年金が頼りの高齢者の家計はひっ迫しています。総務省『家計調査 家計収支編 2024年平均』によると、単身高齢女性の1ヵ月の支出は平均15万5,923円。年金が月12万円だという和子さんの場合、手取り額から考えて、毎月約7万~8万円の赤字になる計算。足りない分は貯蓄から取り崩していくことになります。昨今の物価高により、貯蓄の減少スピードが加速。孫支出を重く感じ、嬉しいはずの孫の訪問が重荷に感じてしまうのも仕方がないことかもしれません。
和子さんのように、「公平に」という愛情ゆえに、孫への援助を「固定費化」してしまうことは、老後資金の枯渇を早めるリスクになります。愛する孫のためであっても、まずは自身の生活基盤を守ること。そのために、娘や息子と話し合い、援助の頻度や金額の上限を明確に決めておく、「今は厳しい」と正直に伝える勇気を持つことが、老後の生活設計を維持するために不可欠です。
[参考資料]
総務省『家計調査 家計収支編 2024年平均』