「結婚はまだ?」親からの善意の問いかけが、かえって重圧になる30代・40代の未婚者は少なくありません。彼らが結婚に踏み切れない裏側には、親世代には見えにくい切実な理由があります。現代の結婚観と親子関係の溝を埋める対話のヒントを探ります。
結婚はリスクでしかない…〈月収48万円〉35歳独身男性が断言する、親が知らない「人生から失う2つの自由」 (※写真はイメージです/PIXTA)

親からのプレッシャーが子を遠ざける

株式会社ブライズシーが親が健在である30~40代の未婚男女に行った調査では、「結婚は考えていない*」と回答した人は59.8%にのぼりました。

 

結婚するうえで障壁だと感じることとしては、「経済的不安」(47.2%)よりも「一人の時間・自由を失いたくない」(53.2%)のほうが上。現代の30~40代は、自分自身のライフスタイルや価値観を大切にする傾向が強く、結婚がそれを制限するのではないかという懸念が、結婚への大きな壁になっています。

 

そんな30~40代の未婚者に対する親からの過度なプレッシャーは、子どもを結婚から遠ざけ、親子間の溝を深める要因となっているようです。

 

調査では、「困る・やめてほしい」と感じる親の関与のトップは、田中さんの例にもあるように「まだ結婚しないのかといった過度なプレッシャー」で、50.8%に達しています。良かれと思っての発言が、かえって子どもの心を追い詰めている現状が見て取れます。

 

一方で、子どもたちが親に望んでいるのは、プレッシャーや干渉ではありません。同じ調査で「嬉しい・ありがたい」サポートとして最も声が多かったのは「結婚や婚活にかかる費用の援助」(30.6%)、次いで「悩み相談などの精神的なサポート」(28.8%)が上がりました。

 

結婚は「経済的な負担」であり、「自由の喪失」という不安がつきまとうものです。親世代がすべきことは、結婚を急かすことではなく、まず子どもの不安や価値観に耳を傾け、正論ではなく対話を通じて理解を示す姿勢。本当に助けが必要な時に、経済面や精神面でそっと手を差し伸べるサポーターとしての役割こそが、今、子どもたちに求められている親の姿といえるでしょう。

 

[参考資料]

株式会社ブライズシー『30代~40代の未婚者が、親からの結婚サポートで嬉しいと感じるもの第1位は「結婚や婚活にかかる費用の援助」!株式会社ブライズシーが「結婚と親子関係」に関する調査を実施!』