「結婚はまだ?」親からの善意の問いかけが、かえって重圧になる30代・40代の未婚者は少なくありません。彼らが結婚に踏み切れない裏側には、親世代には見えにくい切実な理由があります。現代の結婚観と親子関係の溝を埋める対話のヒントを探ります。
結婚はリスクでしかない…〈月収48万円〉35歳独身男性が断言する、親が知らない「人生から失う2つの自由」 (※写真はイメージです/PIXTA)

結婚はまだ?親のプレッシャーに悩む35歳男性

会社員の田中健太さん(仮名・35歳)。現在、実家を出て一人暮らしをしていますが、時折実家へ帰るたびに、両親から結婚についての話題を切り出されるそうです。

 

「父や母は、世間話の延長のような感じで『いい人はいないのか』『そろそろ身を固めたらどうだ』と言ってきます。悪気がないのはわかっていますし、孫の顔を見たい親心なのだろうと感じています。ただ、頻繁に言われると正直、プレッシャーに感じてしまうんです」

 

田中さん自身は、結婚をまったく考えていないわけではありません。しかし、今すぐに結婚に踏み切れないのには、いくつかの理由があると言います。

 

最も大きな障壁として田中さんが挙げたのは、「結婚により自由がなくなる」こと。

 

「今の生活は、仕事が終われば、自分の好きなように時間を使えます。週末も、どのように過ごすは自分次第ですから」

 

具体的に、どのような「自由」を失うことに懸念があるのでしょうか。

 

「仕事の付き合いで帰宅が遅くなっても、誰に気兼ねすることもない。週末には、自分の部屋で好きなだけゲームをしたり、好きなだけ寝ていられる。こうした『一人の時間』を失いたくない気持ちが強いです」

 

さらに田中さんは、結婚に伴う「経済的な不安」についても触れました。

 

「結婚となると、生活費以外にも、将来の住居や子どもの教育費など、漠然としたお金の心配が現実味を帯びてきますよね。今の自分の収入で、家族を養っていけるのかという自信が持てないし、自由に使えるお金も減るのは確実……」

 

月収48万円ほどだという田中さん。大卒・同年代平均よりも多い給与ではあるものの、結婚という未知の世界への漠然とした不安は大きいといいます。もちろん「親には心配をかけたくない」という気持ちも強いといいますが、自分の不安や現状を正直に話す機会はほとんどないとか。聞かれるたびに適当にはぐらかしてしまうのが現状です。会話自体に抵抗があり、できることなら避けたいといいます。

 

「いとこはみんな結婚しているので、親としても肩身が狭いというのもあるとは思いますが、正直、私にとって結婚にはリスクしか感じないんですよ」