子どもの成長に寄り添う、やりがいに満ちた仕事である教師。しかし、その教育現場で今、心身の限界を超えるほどの長時間労働が常態化し、教壇を去る決断を迫られる人が後を絶ちません。月収30万円、月の残業150時間――。ある若手教師の告白です。
心が壊れる前に辞めました…〈月収30万円〉28歳の中学校教師が明かす「月120時間残業」の壮絶な日々 (※写真はイメージです/PIXTA)

生徒のため……終わりなき長時間労働

「子どもの成長を間近で支えられる、素晴らしい仕事だと思っています」

 

元公立中学校教師の池田奨太さん(28歳・仮名)。大学時代、教育実習で感じたやりがいと、「生徒たちのために」という熱い想いを胸に、憧れだった教職の道へ進みました。

 

公務員という安定した身分、そして月収約30万円という待遇。しかし現実は、理想とはほど遠いものでした。

 

「平日は、朝7時過ぎには学校に着いて、部活動の朝練指導から一日が始まります。授業を終え、生徒たちが下校したあとも仕事は終わりません。放課後の部活指導、保護者への連絡、山積みの事務作業、翌日の授業準備……すべてを終えて学校を出るのは、毎日22時過ぎでした」

 

疲労困憊の身体に鞭打ち、再び早朝から学校へ向かう。そんな毎日が続きました。週末も部活動の指導があります。顧問を務めていた運動部の大会が毎週のようにあり、土日も休む暇なく引率に駆り出されたのです。

 

「自分の時間はまったくありませんでした。月の残業時間が120時間を超えたときも。もちろん、サービス残業です。振替休日も、たまった業務をこなすために登校せざるを得ない。一体何のために働いているのか、分からなくなる瞬間がありました」

 

心身の疲労がピークに達するなか、保護者からの厳しい要求。

 

「うちの子どもはなぜ、試合に出られないんだ」

「成績の付け方に納得がいかない」

「子どもが学校に行きたくないと言っている。どうにかしろ」

 

誰のために教師をしているのか分からなくなり精神的に参って休職していく同僚の姿を見ては、「明日は我が身だ」という恐怖を覚えたといいます。

 

そんなある日、疲れがピークに達したのか、起き上がれない日があったそう。このままでは、本当に自分が壊れてしまう――池田さんは教師を辞めるという、苦渋の決断を下しました。

 

「教師という仕事は今でも誇りに思っています。でも、自分の人生を犠牲にしてまで続けることはできませんでした」