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「健康維持」「生きがい」…多様化するシニアの就労目的
定年後に新たな働き方を模索するシニアは少なくなく、彼らが働く目的は、必ずしも収入だけではありません。
総務省によると、2025年、65歳以上人口は3,619万人で、総人口に占める割合は29.4%と過去最高を記録。また65歳以上の就業者数は、21年連続で増加し930万人と過去最多となり、就業者総数に占める65歳以上の就業者の割合は13.7%と過去最高を記録しました。
働く高齢者が増えるなか、その理由もさまざまです。内閣府の調査によると、高齢者が収入を伴う仕事をしている理由として、55.1%が「収入のため」と回答する一方で、20.1%が「働くのは体によいから/老化を防ぐから」と回答。また12.4%が「仕事の知識・能力を生かせるから」、4.8%が「仕事が面白いから」と答えています。圧倒的に「働く理由=収入を得るため」ではあるものの、健康や生きがいを理由に働く人も少なくありません。
重要なのは、現役時代に培ったマネジメント能力や専門スキルを活かすことだけが、セカンドキャリアの成功ではないということです。むしろ、田中さんのように「健康のため」「新しいことを知るのが楽しい」といった、自身の「好きなこと」や「興味」を軸に仕事を選ぶことが、より豊かなシニアライフに繋がるケースもあります。
こうしたポジティブなセカンドキャリアを築くためには、現役時代からの準備が鍵となります。社内の人間関係に終始するのではなく、早期から社外のコミュニティに参加したり、仕事とは直接関係のない趣味を深めたりすることで、自身の新たな可能性や社会との新しい接点を見つけることができるでしょう。
肩書がなくなったとき、自分に何が残るのか…それを考えることが、豊かな人生後半戦の第一歩となりそうです。
[参考資料]
総務省『統計トピックスNo.146 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-』
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査結果』