(※写真はイメージです/PIXTA)
久々に帰った実家に積まれた不審な段ボール
都内の企業に勤める雨宮浩二さん(50歳・仮名)。電車で1時間ほどの実家には、母のトシ子さん(仮名・80歳)がひとり暮らしをしています。そんなトシ子さんの様子に異変が……。
「電話で話していても、会話がかみ合わなかったり、先週話した内容を覚えていなかったり……年齢のせいだと分かってはいるのですが、お金の管理が少しずつルーズになっているのが、何より心配でした」
トシ子さんの収入は月9万円の年金だけ。それでも持ち家で、夫(浩二さんの父)の遺産もある。生活するうえでお金の心配はないと思っていました。しかしある週末、数カ月ぶりに実家を訪れた浩二さんは、居間に積み上げられた見慣れない段ボール箱の山に気づきました。なかには健康食品の瓶がぎっしり。
「母さん、これは何?」
「さあ……なんだろう。でも、体にいいものなんでしょ?」
聞けば、毎月2箱届くのだとか。ただどうしたらいいのかわからず、放置しているといいます。どこまでも他人事の母の姿に強い不安を覚えた浩二さん。そこで、トシ子さんの預金通帳をこっそり見ると、そこには毎月3万円ほどの引き落としがありました。
(自分で買ったのに忘れているのか?)
さらに通帳には、毎月2万円程度の不審な引き落としも。そこで「便利だから」とトシ子さんに買ってあげたスマートフォンに目をやった浩二さん。トシ子さんが席を立った隙に、そっとスマホを手に取りました。パスコードは設定されておらず、いろいろと探ってみると、ブラウザの履歴のなかに頻繁に訪れているサイトがあることを発見。そのサイトにアクセスしてみると、それは「占いチャットサイト」でした。そのサイト上では「先生」と呼ばれる占い師と、トシ子さんとのやり取りが残されていました。それは占い師との他愛ない会話。きっと言われるがままに高額なポイント課金を繰り返していたのでしょう。
(しっかりしてくれよ、母さん……)
戻ってきたトシ子さんとじっくり話してわかったことは、占いサイトについては浩二さんの想像通り。そして健康食品については、以前サンプルとして購入したもので、以降はキャンセルをしない限り定期購読に切り替わるものでした。また占いサイトの課金についても、「ああ、これ、お金がかかっているの?」とよくわかっていない様子だったといいます。