一人暮らしの親に不安を募らせる子ども。老人ホームに入居が決まれば、ホッとひと安心するのは当然のことです。しかしその安心が思わぬ方向に進むことも。ある親子のケースをみていきます。
ふざけるな!資産1億円が消えていく…高級老人ホームで50歳下の男に貢ぐ73歳母、通帳を見た55歳長男が絶句した「衝撃の事実」 (※写真はイメージです/PIXTA)

高級老人ホームに入居する母の預金通帳を確認すると…

都内の企業に勤める山内浩二さん(55歳・仮名)。彼の母・千代子さん(73歳・仮名)は3年前に夫を亡くし、都内の高級老人ホームで暮らしています。遺産と貯蓄を合わせ、その資産は1億円近くになり、老後の心配はありません。事件が発覚したのは、浩二さんが母を訪ねたときのことでした。何かと忙しく、ホームを訪れたのは半年以上ぶりだったといいます。そこで施設の利用料の引き落とし口座の残高が思っている以上に減っていることにたまたま気がついたそうです。

 

「施設利用料として、毎月30万円前後引き落とされる。そう考えると、残高が少ない……」

 

不審に思い、リビングに置いてあった通帳を手に取りました。そこに記されていたのは「タナカ タクヤ」という個人名義の口座に100万円を振り込んだ記録。(誰だ、このタナカって男は?)。浩二さんが通帳を見せて問いただすと、千代子さんは一瞬顔をこわばらせましたが、すぐに毅然とした態度で「あなたには関係ないでしょう」といいます。

 

それでもしつこく聞くと、どうやら「拓也」と名乗るその男(仮名・23歳)は、自宅に住んでいたときにたまにお願いしていたホームクリーニングの業者の人間。段々と世間話をするような間柄となり、そのうち起業を目指して頑張っていることを知ったといいます。振り込んだ100万円は、その夢を少しでも後押ししたいという気持ち。

 

「そんなの詐欺に決まってるだろ! 50も年下の男が、見返りもなしに高齢の女性に夢を語るわけないだろう」

 

浩二さんの怒声が響きます。しかし、千代子さんにはまったく響きません。

 

「騙されてなんかないわ。あの子は、私のくだらない昔話も愚痴も、何時間でも嫌な顔ひとつせずに聞いてくれる。たった一人の理解者よ」

 

さらに強い口調で続けます。

 

「それに比べて、あなたたちはどう? 仕事が忙しい、家庭がある。それは分かるわ。でも、最後に私とちゃんと向き合ってくれたのはいつ? たまに来てくれても、すぐに帰ってしまう。ここ(老人ホーム)は快適だけど孤独よ。拓也くんは、たまにホームに来て話し相手もしてくれるの。赤の他人に、そこまでできる? 100万円はそのお礼。安いものよ」