一人暮らしの親に不安を募らせる子ども。老人ホームに入居が決まれば、ホッとひと安心するのは当然のことです。しかしその安心が思わぬ方向に進むことも。ある親子のケースをみていきます。
ふざけるな!資産1億円が消えていく…高級老人ホームで50歳下の男に貢ぐ73歳母、通帳を見た55歳長男が絶句した「衝撃の事実」 (※写真はイメージです/PIXTA)

話し相手がいない…孤独を深める高齢者

内閣府『令和5年度高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査)』によると、親しくしている友人・仲間がいるかとの問いに対し、5年前調査と比較すると、「たくさんいる」または「普通にいる」と回答した割合は72.2%→46.8%と大きく低下しました。

 

また人と話をする頻度についても、前回調査と比較すると、「毎日」と回答した割合は90.2%→72.5%と大きく低下しています。特に一人暮らしに限ると、80.9%→38.9%と半減しています。これらはコロナ禍の影響が大きいと考えられるものの、未だにその影響が残っていると考えられるでしょう。

 

孤独感を抱える高齢者が増えるなか、老人ホームにおける面会頻度はどれほどなのでしょうか。株式会社Speeeが行った調査によると、最も多いのは「月1〜3回程度」の40%であり、全体の約7割が少なくとも月に1回は面会に訪れています。一方で「半年〜1年に1回」も8.8%と一定数います。物理的距離があって面会が難しいケースも多い一方で、千代子さん/浩二さんのように、近所に住んでいながらも足が遠のいてしまうケースもあるでしょう。

 

面会が容易な距離なのに全然来ない——

 

そのような状況のほうが、孤独感は深くなるのかもしれません。

 

「正直、母のことをおざなりにしていたことは認めます。しかし、赤の他人に100万円なんて……このままでは『全財産を拓也に』なんて言い出しかねません。母の財産は父から継いだものでもある。ほんと、『ふざけるな!』って話ですよ。絶対それだけは阻止しなければなりません」

 

[参考資料]

内閣府『令和5年度高齢社会対策総合調査(高齢者の住宅と生活環境に関する調査)』

株式会社Speee『どのくらい面会に行く?「ケアスル 介護」にて介護施設の面会頻度や面会理由に関するアンケートを実施』