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仕送りと年金で月30万円だが…「お金が足りない」母親の訴え
大学を卒業後、都内で就職したAさんは、あまり母親と連絡を取らなくなっていました。Aさんとしても18歳で母親を捨ててしまったような罪悪感に駆られることが多く、もう母親から逃げたいという思いが強かったのです。
その一方でAさんは母親が65歳で看護師の仕事を辞めてから、毎月15万円を仕送りしていました。決して少なくはない負担ですが、Aさんは就職した証券会社で優秀な成績を修めていて、高額なインセンティブが支給される年も増えていました。仕送りだけでなく母親のために中古住宅も購入しました。これらはすべてAさんの母親への罪悪感からくる行動かもしれません。
しかし最近、母親の様子がおかしいのです。
「お金が……足りないの。もう少し送ってくれない?」79歳の母が電話口でその言葉を聞いた瞬間、Aさんは違和感どころか、いい知れぬ恐怖を覚えました。
仕送りは毎月15万円。加えて母の年金額は約15万円。合計手取り30万円です。宮城県の田舎町で一人暮らしを送るには十分すぎる額でしょう。地元の子育て世代の収入と比べても遜色ないはず。すべて自分のために使えます。それなのに、なぜ「足りない」と訴えるのか。
また、つい最近まで、仕送りしてもらったお金は貯めて、Aさんの結婚資金にするといっていたのです。Aさんが「もう50歳になるんだから結婚は無理だよ」といっても、母親は結婚を楽しみにしているようでした。それがなぜお金がないという状態に陥るのでしょう。
Aさんの脳裏には最悪の可能性がよぎります。特殊詐欺か。新興宗教か。ネットワークビジネスか。もしかしたら認知症が進んでいるのではないのか。
仕送りはするものの母親に会うのは心理的に重荷すぎて滅多に宮城へ帰ることはなかったAさんですが、このときは心配のあまり、週末に新幹線に乗って会いに行くことにしました。
レンタカーに乗って家にたどり着き、中に入ってみると……。驚きのあまりAさんは声を出してしまいました。