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保険適用内の治療か、それとも…究極の選択
「正直、退職金などで蓄えた貯金を取り崩せば、払えなくもない。しかし、治療が何年続くかわからない。お金が底をついてしまうかもしれない……」
公的医療保険のおかげで、私たちは医療費の原則1~3割を自己負担するだけで、必要な治療が受けられます。さらに、医療費が高額になった場合には「高額療養費制度」があり、所得に応じて定められた自己負担限度額を超えた分は、後で払い戻される仕組みになっています。
たとえば、田中さんのように70歳以上で年収が約370万円未満の場合、外来・入院を合わせた1ヵ月の自己負担限度額は57,600円です。多くの人は、この制度があるから「いざという時も安心」と考えているかもしれません。
しかし、この制度は保険適用外の治療や費用は対象になりません。厚生労働省の資料によれば、保険適用外の費用には、主に以下のようなものがあります。
●先進医療にかかる技術料
公的医療保険の対象にするかを評価中の先進的な医療技術。技術料は全額自己負担
●保険適用外の医薬品や治療法
国内で未承認の抗がん剤などを使った治療(自由診療)
●差額ベッド代
希望して個室などに入院した場合の室料
●入院中の食事代の一部や雑費
生命保険文化センター『2022(令和4)年度 生活保障に関する調査』によると、直近の入院における1日あたりの自己負担額は平均2万700円で、入院1回あたりの自己負担額は19.8万円です。
先進医療を受けた場合の自己負担額は、技術料だけで100万円を超えるケースもあるでしょう。受けるか、受けないかは自分次第。命を天秤にかけるような選択をしなければなりません。
「子どもたちがね、サポートするから治療を受けてほしいって……だから頑張るつもりです」
[参考資料]
公益財団法人生命保険文化センター『2022(令和4)年度 生活保障に関する調査』
厚生労働省『先進医療の各技術の概要』