長年、馬車馬のように働き続けてきた会社員が、ふと我に返る瞬間があります。「自分は一体、何のために働き、何を犠牲にしてきたのか」と。それは、多くの人が50代で直面する「中年の危機」の始まりかもしれません。54歳のときに勤続29年の会社で降格処分となり、55歳で無職となった竹本和広氏も、かつて同じ悩みを抱えていました。現在はミドルシニアのキャリア支援に従事する同氏の著書『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)より、実体験から、人生の後半戦を本当に意味あるものにする方法を探ります。
毎日会食、週末は接待ゴルフ、馬車馬のように働き、通信会社の執行役員まで登りつめた50代父…「長男の結婚披露宴」で後悔した理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

時間をかけて見つけた“自分だけの言葉”が、その後の人生の「心の御守り」になる

何度も修正を繰り返している時期に、大目的・中目的・小目的という考え方のフレームに出合い、経験から言語化できた言葉が次になります。

 

ありたい姿:次の世代に貢献する

複業の目的:元気な中高年を増やすこと

 

自分だけの言葉です。誰のためでもないため、自分とさえ合意できればよいと思っています。発信するとき「笑われたらどうしよう」と、最初はとても不安でした。しかし同じ思いをもつ人たちとつながっていく経験をした私は、恥ずかしがらずに発信することも大切だ、と思うようになりました。

 

少しでもよい未来を次の世代へつないでいきたい。大きなことはできないけど、自分にできることはしよう。そのような思いです。元気な中高年が増えれば、次の世代へも好影響を与え、大目的を実現するための解決方法になるのではないかと考えています。

 

自分の目指すべき方向性が定まり、複業の目的を言語化。小目的でやるべきタスクを書き出すことで行動が続くようになりました。その結果、2023年に複業の目的につながる仕事にめぐりあい、いまのところ自分の言葉にしっくりきています。

 

人生いろいろあるけど、富士山を見ていると『まぁいいかって』思うのですよ

 

これは、富士吉田市で出会った人生の先輩からの忘れられない言葉です。このときの私は無職で苦悩していたころで、「焦る必要はないよ」といっていただいた気がして、非常に響いた言葉でした。

 

2021年、仕事探しがうまくいかなかった無職のころ、思いのまま書いた日記には、「あきらめるな。お前ならできる!」と書いてあり、自分の言葉に救われたこともありました。

 

言葉のチカラは本当に大きいと思います。あなたにも座右の銘や大切にしている言葉があるでしょう。言語化作業は時間がかかります。1日2日で簡単にできる作業ではありませんが、自分自身のために、あなたの言葉で言語化してほしいです。とくに自分と向き合う時間を過ごし、転機の渦中にいる人は言語化するチャンスだと思います。

 

心の声に耳を傾けてみてください。あなたが試行錯誤のすえ、心の御守りとして自分と合意できる言葉にたどり着くことを願っています。その言葉が、あなたらしい人生に向かって、迷いなく前進していくチカラになっていくでしょう。

 

 

竹本 和広

セカンドキャリアコーチ

株式会社ライフシフトラボ 複業トレーナー

 

※本記事は『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。