年金・退職金はいくら受け取れるか、住宅ローンは繰り上げ返済すべきか、迫りくる親の介護と上がり続ける物価……。50代のマネープランは、悩みと不安の連続です。しかし、その不安の正体と向き合わなければ、漠然と「お金を貯める」ことしかできず、人生の選択肢を狭めてしまうかもしれません。本記事では、竹本和広氏の著書『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)より、50代で考えるマネープランについて解説します。
「75歳までに死んだら、もったいない」といわれるが…「年金は繰り下げ受給します」元サラリーマン夫が決めた、確固たる理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金が一つの指標…50代で考える「老後に向けたマネープラン」

マネープランもライフプラン同様、人それぞれです。マネープランは、住宅ローンの有無、家族構成や家族の状況によって変わってくるでしょう。

 

まだ小さいお子さまをおもちの人の場合、老後のマネープランを考える余裕がないかもしれません。子どもの教育費が終了する時点がひとつの分岐点になると思います。教育費が終了したと思ったら親の介護費用が発生することもあり、50代のマネープランは本当に悩ましいものです。

 

自給自足を目指している人は、多くのお金を必要としませんし、都会暮らしを望む人と地方暮らしを目指す人でも、将来必要なお金は変わってくるでしょう。あなたは老後に向けて、どのようなマネープランを考えていますか? 老後のマネープランを考えるうえで、ねんきんネットにアクセスして自分の年金額を把握することがスタートになると思います。

 

※ねんきんネット:日本年金機構が提供するオンラインサービス。

 

長年1社で働いてきたあなたは、将来年金が月額約20万円はあるでしょうから、いつ受給開始するかがひとつのポイントです。

 

私はライフプランで「75歳までふつうに働くこと」を目標にしているため、年金受給開始を75歳からと決めています。繰り下げたほうが受給金額は増加するからです。「75歳までに死んだら、もったいない」といわれたことがありますが、年金には在職老齢年金制度があります。元気なうちは年金受給せずに働き続けたいと考えていて、仮に死亡しても、妻には未支給年金や遺族年金が支給されます。ご夫婦の場合、ふたりで話し合うことも重要なことでしょう。

 

※在職老齢年金:給与と年金の合計が月額50万円を超えると年金が減額される仕組み。

 

65歳で定年退職し、夫婦ふたりが年金だけで生活する場合を考えてみましょう。

 

総務省の「家計調査」によれば、公的年金の受給額が月額約20万円。家計の平均支出額は月30万円弱。つまり、65歳以降は年金に加えて月に10万円ほどの収入があれば家計はまわる計算になります。夫婦で収入を得れば豊かな生活を送ることも可能です。