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50代~老後にかけて増加するコスト
ただし、これから必要なコストは増加していきます。まず健康保険料は負担が増えます。たとえば介護保険。会社員の場合、64歳までは健康保険料と一緒に介護保険料も会社が半分負担していますが、65歳以降は第1号被保険者となり、会社の半分負担がなくなります。健康保険は退職すると健康保険証が使えなくなります。国民健康保険への加入になると、会社員のときの「扶養」という概念がなくなり、夫婦それぞれ加入する必要があるため、負担が重くなるのです。これから若い現役世代の人たちのことを考えれば、私たち50代の社会保険料の負担は増えていくでしょう。
負担増は公的なものに限りません。現在の物価上昇も身に沁みていると思います。これからの人手不足を背景に人件費が上昇し、これまであたりまえに受けてきたサービスの価格も間違いなく上昇していくでしょう。
そのほかにも、医療費、住宅の修繕、予期せぬ出費、などを想定してマネープランを考える必要がありそうです。月に10万円の収入で足りそうでしょうか? これからの時代は人手不足もあり、とくにエッセンシャルワークの担い手は需要が高まり、待遇も改善されていくでしょう。そう考えると、65歳からの職探しでも仕事は見つかりそうです。
年金、退職金、住宅ローン、シニア就労を踏まえた50代のマネープラン
50代のいまのうちから、足りない分を見据えて複業をはじめておくことも、老後に向けたマネープランの安心につながることでしょう。どのような選択をするかは、結局のところ、ライフプラン次第だと思います。我が家のマネープランは、ふたりの子どもたちが巣立ち、教育費が不要になったことが大きいです。収入は減りましたが、支出も大幅に減りました。家計の見直しを行い、ダウンサイジングしました。お金の知識を身につけたあとは、不要な保険をすべて解約。「知らない」のは本当にこわいことですね……。
複利の効果を学び、株式投資を開始。お金にも働いてもらっています。75歳まで運用を続ける予定です。75歳までふつうに働けるのか、現実はどうなるかわかりませんが、「複業+年金+株」が老後に向けたマネープランの基本設計です。
あなたが、これから受け取るであろう退職金についても触れておきます。今後、退職金が減少傾向にあることはご存知の方が多いと思います。私は年金型ではなく、一時金で受け取りました。会社にあった退職金試算システムで計算
していた額よりも、数百万円少なかったです。退職金は本来、老後の資金のために残すべきでしょうが、私は自分への投資(学び)に投入しました。「人生ここぞ!」です。子どもたちの結婚式費用などの物入りも重なりましたが、これからは大きな出費の予定がありません。不測の事態に備えて数百万円だけは手元に残しました。
75歳まで住宅ローンはありますが、繰り上げ返済は一切しませんでした。団体信用生命保険に加入済のためです。「今
後の金利上昇を考えれば一括返済したほうがよい」との意見もありますが、夫婦で相談して決めたので「それでいい」と思っています。マネープランは人それぞれ。さまざまな考え方がありますが、氾濫する情報に左右されず、思い描いたライフプランにそって、自分が決めたことを信じるしかなさそうです。
なお、退職金を受け取ると銀行から営業攻勢を受けますのでご注意ください。自己防衛という意味でも、お金の知識を身につけてから対処することが賢明です。日本FP協会のホームページには「便利ツールで家計をチェック」というサービスもありますので活用してはいかがでしょうか。