定年したら趣味三昧、のんびりしよう――。多くの会社員が、そんな“ご褒美”のような老後を夢見て、日々の仕事に耐えています。しかし、彼らを待っているのは、悠々自適の生活などではないようです。本記事では、竹本和広氏の著書『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)より、同氏が体験した「仕事がないこと」の本当の恐怖をみていきましょう。
定年後は「好きなゴルフでもしてのんびりと」の幻想…通信会社・元執行役員が54歳で早めの退職をした3か月後、図書館・スーパーで時間をもて余す老人に〈自分の末路〉を重ねた日 (※写真はイメージです/PIXTA)

仕事がなくなることの本当の恐ろしさ

無職期間中のメンタルには本当に苦しみました。老後いちばんのリスクはメンタル、という記事を読んだことがあります。残念なことに、中高年の引きこもりや定年後鬱も社会問題化しています。中高年の引きこもりは推計60万人を超えるようです。在宅でできる複業も数多くあることを知った現在、複業が社会復帰のキッカケにならないものかと考えさせられます……。

 

無職期間中、さらにメンタルが沈む出来事がありました。後輩から以前懇意にしていたお客さまのセミナーへ誘われて足を運んだとき、セミナーに登壇しているお客さまの姿がまぶしく見え、無職の自分が声をかけられませんでした。学生時代の友人に誘われて飲みに行ったときは、友人から「きょうは俺がおごるわ」といわれ、「おごられる間柄でもないのに、対等な関係でなくなってしまった……」と気持ちが沈んだこともありました。

 

無職期間のメンタル維持は、本当につらい経験でした。もう二度と経験したくありません。人生の青写真のなかで「75歳まで」と年齢で線を引くことをあらためて、「生涯現役で働く」と思い描いたのはこのような体験からです。

 

 

竹本 和広

セカンドキャリアコーチ

株式会社ライフシフトラボ 複業トレーナー

 

※本記事は『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。