定年したら趣味三昧、のんびりしよう――。多くの会社員が、そんな“ご褒美”のような老後を夢見て、日々の仕事に耐えています。しかし、彼らを待っているのは、悠々自適の生活などではないようです。本記事では、竹本和広氏の著書『自分らしく生きる定年後の仕事 50代の働き方は「複業」で変わる!』(ごきげんビジネス出版)より、同氏が体験した「仕事がないこと」の本当の恐怖をみていきましょう。
定年後は「好きなゴルフでもしてのんびりと」の幻想…通信会社・元執行役員が54歳で早めの退職をした3か月後、図書館・スーパーで時間をもて余す老人に〈自分の末路〉を重ねた日 (※写真はイメージです/PIXTA)

通信会社勤続29年、懲戒処分に…54歳で迎えた転機

50代の人のなかには、もしかしたら「いまさらがんばるなんて無理……」と考えている人がいるかもしれませんね。次のような経験がありませんか?

 

「週末には楽しい予定があるので、平日の仕事はなんとかがんばる」といった感覚です。私の場合、1週間より長い時間軸ではありますが、人生の青写真を描き、人生のゴール地点を決めたことで、5年間は我慢と考えられるようになりました。一生懸命がんばることは敬遠される時代ですが、「人の支援をする仕事をする」ために、がんばらざるを得ませんでした。楽しい未来を想像して、なんとかがんばれています。

 

しかし、この4年間は苦しい時間の連続でした。仕事探しも、大人の学びも、何回挫折しかけたかわかりません。会社員時代に学んでこなかった代償は大きかったです……。

 

自分と向き合い、転機から一歩踏み出そうとしているあなたはいかがでしょうか。「資格を取得してみようかな?「ITスクールに通ってみようかな?」と検討しているかもしれませんね。自分と向き合う時間を過ごし、「人生ここぞ!」という心の声がそうさせているのかもしれません。私が自分強化期間にしたのも、「人生ここぞ!」の感覚です。「いまがんばらなくてどうする!」との心の声です。

 

あなたにも、若いころのがんばりがあるからいまがあると思い当たることはありませんか? 

 

私は会社員時代、20代・30代をガムシャラに働いた経験があるからこそ、40代以降を過ごせたと思っています。自宅に着くのが連日0時をすぎるまで仕事をしたり、お客さま向けの提案書を完成させるために会社の床に段ボールを敷いて寝泊りしたり、ガムシャラに働きました。私たちが若いころは、がんばるとか努力するとか以前に、このようなことはあたりまえの時代でしたよね?

 

60歳から第2の人生にしようと決めた私は、将来人生を振り返ったときに「50代のがんばりがあるからいまがある」といえるようにしたいと思っています。

 

「人生ここぞ!」のサインは案外、重要ではないでしょうか。そこでの意思決定の積み重ねが、人の出会いを呼び、よい出来事にめぐり合い、人生をつくっていくと感じているからです。60代は未知のためわかりませんが、50代はまだ気力・体力ともにがんばれると実感しています。ライフプランを立てて一緒にがんばっていきましょう!