核家族化や少子化が進む現代において、先祖代々のお墓をどう守っていくかという問題は、多くの家庭にとって避けて通れないテーマとなりつつあります。親世代は「先祖の墓を守るべき」という思いを抱く一方で、子世代は「将来、誰が墓を管理するのか」という現実的な不安に直面します。さらに墓じまいの前に、費用のトラブルに見舞われることもあるようです。
どうするんだよ、あのお墓!〈年金12万円〉82歳母、55歳長男の説得で「墓じまい」を決意も…寺から請求された「離檀料」に唖然「何かの間違いでは?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「感謝の気持ちです」…前向きな決断を打ち砕いた寺からの要求

自らの体験を通して、親子はようやく1つの決断を下しました。やっとの思いで同じ方向を向き、前向きな一歩を踏み出したのです。新しい供養の形へと進むため、2人は長年お世話になった菩提寺へと向かいました。

 

住職との話し合いも穏やかに進み、長年の懸案が解決に向かうと、誰もがそう信じていました。しかし寺から請求された「離檀料」に言葉を失いました。

 

「『離檀料』として300万円と言われて……。『何かの間違いでは?』という言葉以外に出てきませんでした」

 

300万円など、明彦さんにとってもすぐさま用意できる金額ではありません。「離檀料」は、檀家をやめる際に、これまでお世話になった感謝の気持ちを込めて渡すお布施の一種です。しかし、法的な支払い義務はなく、金額にも明確な基準はありません。あくまで「お気持ち」であるはずのものが、なぜこれほど高額な請求となったのでしょうか。

 

墓じまいを行うには、行政手続き上、現在の墓地の管理者(この場合は菩提寺)が発行する「埋蔵証明書」が不可欠となります。このため、墓地の管理者が強い立場になりやすく、証明書の発行を背景に高額な離檀料の支払いを求めるといったトラブルが全国で散見されます。国民生活センターでも、離檀料に関するトラブルに注意を呼び掛けています。

 

寺は「これまで長きにわたりお墓を守ってきたことへの感謝のお気持ちです。皆様にお願いしております」という説明を繰り返すばかりでした。

 

墓じまいを前に、思いもよらない障壁が立ちはだかりました。このように高額な離檀料を請求された場合は、まず寺院と直接話し合い、提示された金額が妥当かどうか、交渉の余地があるかを確認します。もし話し合いで解決しない場合は、弁護士や行政書士などの専門家、国民生活センターや自治体の相談窓口に相談するのも一つの方法です。

 

[参考資料]

一般社団法人 終活協議会/想いコーポレーショングループ『【2025年最新調査】墓じまいを考える理由1位は「跡継ぎがいない」 |終活ガイド資格者390人に聞いた意識調査』