(画像はイメージです/PIXTA)

かつては一部の富裕層に限られていた相続税の問題が、いまや都市部の一般家庭にも現実のものとなっています。基礎控除の引き下げや地価の上昇により、現金や不動産を持つ家庭ほど課税リスクが高まるなか、早期の対策が求められています。本記事では、不動産の活用や小規模宅地等の特例、不動産小口化商品など、いまから備えられる効果的な節税の選択肢を辻哲弥税理士がわかりやすく解説します。本記事は株式会社エールのWebサイトからの転載記事です。

小規模宅地等の特例の活用

相続税対策において、最も効果が大きい制度の一つが「小規模宅地等の特例」です。この特例は、被相続人の自宅や事業用地などに一定の条件で適用することで、相続税評価額を最大80%も減額できるという非常に強力な節税制度です。

 

たとえば、被相続人の自宅敷地の評価額が5,000万円だった場合、特例を適用することで評価額は1,000万円まで圧縮されます。これは、相続税の課税対象額が4,000万円分減ることを意味し、相続税の軽減効果は非常に大きなものになります。結果として、課税価格が基礎控除以下になり、納税が発生しないケースも少なくありません。

 

この特例にはいくつかのタイプがありますが、主に次の2つが活用されます。

 

・居住用宅地(特定居住用宅地等):最大330㎡まで80%減額

・事業用宅地(特定事業用宅地等):最大400㎡まで80%減額

 

たとえば、自宅で事業を営んでいた場合などは、これらを組み合わせて適用することで、より大きな評価減が可能になります。

 

ただし、この制度にはいくつかの適用要件や注意点があります。代表的な要件は以下の通りです。

 

・被相続人が亡くなるまで実際に住んでいた土地であること

・相続人が配偶者である、または同居親族であり、相続後も一定期間(原則として相続税申告期限まで)居住を継続すること

・単身赴任や介護施設入所等での「例外的居住要件」も存在するが、判断が複雑になる場合がある

 

また、同居していない親族(たとえば子ども)が相続する場合には、特例の適用が難しくなることもあるため、事前の生活設計や住民票の状況など、細かな条件をクリアする必要があります。

 

このように、小規模宅地等の特例は非常に大きな節税効果がある一方で、適用要件が細かく、ときには認定されないリスクもある制度です。土地をどう引き継ぐか、誰が住み続けるのかを、家族とともに事前に話し合っておくことが非常に重要です。

 

制度そのものも、法改正によって内容が変更されることがあるため、定期的に最新の情報を確認し、税理士などの専門家と連携して「使えるうちに使う」ことを意識しましょう。

 

 

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