脂肪のせいで過剰にはたらく肝臓にも「水の摂取」が効果的だといいます。特に飲み方を工夫し、習慣化することで身体の状態が変化し、より効果が見込めるそうです。肥満・脂肪肝専門医である尾形哲氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術【増補改訂版】』(KADOKAWA)より、50代女性の事例をもとに、今日からできる脂肪吸収の抑制に効果的な「水の飲み方」についてみていきましょう。
健康に痩せたいなら水を飲もう…白湯か常温がおすすめ「1日1.5リットルの水」が体にもたらす驚きの効果【専門医が解説】
筆者が勧める水の摂取方法“プレローディング”とは?
水は盲点だった。体重が増えないように水分摂取を控えたいと思ったのもある。そして、先生は続けた。
「“プレローディング”を習慣にするとよいですね」
「プレローディングって何ですか?」
「プレは“事前”、ローディングは“補給”を意味します。要は、食事の直前にコップ1杯の水を飲む方法です」
「それで肝臓の脂肪が減るんですか?」
「はい。食事で体内の塩分濃度が上がると、体は水分不足と判断して飢餓状態のアラートが出ます。すると、飢餓に備えて脂肪をため込もうとするシステムが働くのです。人間の体は実によくできているのです」
「それは知らなかったです」
「水を飲むことで一時的に代謝がアップして、エネルギー消費が増えることも明らかになっていますね」
「水を飲むだけで、体が変化するんですね!」
「そうなんですよ! 胃腸が冷えると消化・吸収力が落ちるので、常温か白湯をおすすめしています」
「食前の水分摂取を取り入れてみます。仕事中も集中すると水分を摂るのも忘れがちになるので、意識しなくちゃいけませんね」
「そうですね。仕事中のリフレッシュにもなると思いますよ」
「はい」
「では、今日お伝えしたことを実践してもらえれば、肝臓の消火活動は加速するはずです。次回も1ヵ月後にお待ちしていますね。目標は2㎏減です」
「はい。よろしくお願いします」
そう言って診察室を出たが、私にとって厳しい1ヵ月になることは想像がついた。というのも、3月末は会社の決算で仕事量がいつも以上に増える。事実、この受診中にもCCメールを含めて80通ほどのメールが届いている。
〈先生からの処方箋〉
食前の水分摂取で体脂肪が減る。1日1.5リットルをこまめに摂取。
尾形 哲
長野県佐久市立国保浅間総合病院
外科部長/「スマート外来」担当医