脂肪のせいで過剰にはたらく肝臓にも「水の摂取」が効果的だといいます。特に飲み方を工夫し、習慣化することで身体の状態が変化し、より効果が見込めるそうです。肥満・脂肪肝専門医である尾形哲氏の著書『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術【増補改訂版】』(KADOKAWA)より、50代女性の事例をもとに、今日からできる脂肪吸収の抑制に効果的な「水の飲み方」についてみていきましょう。
健康に痩せたいなら水を飲もう…白湯か常温がおすすめ「1日1.5リットルの水」が体にもたらす驚きの効果【専門医が解説】
〈本記事の登場人物〉
■永島 亜紀さん(51歳・女性)
身長149cm。残業続きで多忙な日々を送っていた亜紀さんは、食べすぎや飲みすぎの習慣がないにもかかわらず「脂肪肝炎(MASH:代謝機能障害関連脂肪肝炎)」との診断を受ける。1ヵ月前の診察時、亜紀さんの体質改善のため「野菜ジュースや飲むヨーグルト、ゼリータイプの栄養補助食品などに頼らない」というルールを定めた筆者は、今回の診察で体質改善のさらなるポイントを助言する。
「水の飲み方」だけで身体が変わる?
「亜紀さん。飲み物のルールは守れましたか?」
「はい。もともと飲みたくて飲んでいたわけではなく、栄養不足をカバーしたほうがいいだろうという程度だったので、飲まなくても大丈夫でした」
「それはよかったです」
「ただ、そもそも水分をあんまり摂っていなかったです」
「それはもったいない! また改善ポイントを発見できましたよ。火消しに水は必需品です」
「水分はしっかり摂ったほうがいいということでしょうか?」
「体の水分が不足すると便が硬くなって、便秘の一因になります。水とアブラは相対する存在としてたとえられるように、体の脂肪を減らすのにとても重要です」
「そうなんですか。どれくらいの量の水を飲めばいいですか?」
「1日に1.5リットルの水を飲みましょう」
「スープなどの食事から摂る量とは別にですか?」
「食事から摂取するもの以外で、1.5リットルです」
「なるほど……。私にはちょっと多い気がします」
「一度に飲むわけではなく、こまめに飲んでみてください」
「こまめに? 具体的な目安はありますか?」
「朝起きたらコップ1杯200㎖、そのほかに午前中で500㎖、午後に500㎖、入浴前後にコップ1.5杯300㎖の水分摂取をするのが理想です」