(画像はイメージです/PIXTA)

不動産は、相続税評価額が実際の時価よりも低く算出される傾向があるため、現金よりも相続税の負担を抑えやすい資産です。たとえば、1億円の現金はそのまま相続税評価額も1億円ですが、それを不動産に換えた場合、相続税評価額を約7,000〜8,000万円に抑えることが可能となり、課税対象額を大きく減らすことができます。さらに、不動産は賃貸経営による収益化も見込め、また共有名義にすることで、相続人間で税負担を分散させることも可能です。本記事では、具体例を交えながら不動産活用の有効性を詳しく解説します。本記事は株式会社エールのWebサイトからの転載記事です。

相続があったとき、賃貸している物件がある場合の特例

 

株式会社エールが販売する不動産小口化商品「eLShare(エルシェア)」
詳細パンフレットを無料プレゼント中!
申込はこちら≫

相続税法の規定で小規模宅地の特例という規定があります。具体的には賃貸アパートや賃貸マンションの敷地などが該当となります。


亡くなった人が賃貸事業で利用していた土地を、引き継いで賃貸を続ける人が相続した場合、200㎡までの評価額が50%減額されます。具体的には賃貸アパートや賃貸マンションの敷地などが該当します。


適用条件は以下になります。

 

・相続税の申告期限までその土地を継続して所有すること


・相続税の申告期限まで賃貸経営を継続させること

 

この条件を満たせば200㎡まで50%土地の評価を減額できるという特例です。なお、ここでいう賃貸経営とはそれ相当の家賃や地代を受け取っていることが前提となります。たとえば親族間で一般相場よりかなり安い家賃しか受け取っていない場合は賃貸経営とみとめられないこととなりますのでご注意ください。


また、税制改正により平成30年4月1日以降に貸し付けられた宅地等は、貸付日から相続発生日まで3年以上経過しないと、本特例が適用できなくなりました。また小規模宅地の特例には居住用宅地の特例などもありますので、この貸付事業用を選択するかどうかどちらか有利な方を選択することとなります。

不動産による相続税対策の注意点

このように、不動産を購入し、賃貸経営するなどで活用することにより相続税評価額が大きく減額できるというメリットもありますが、では逆にどのような点に注意が必要なのでしょうか?

 

空室リスクを考慮する

土地活用は賃貸需要が見込まれるべき立地で行うものであり、すべての土地が対象となるわけではありません。空室が増えてしまうと、賃貸収入が減るだけでなく、借り入れを行って建物を建てた場合などは借入金の返済も滞ることにもなります。土地活用を検討するときは専門家などの意見を聞き、慎重に行った方がよいでしょう。

 

行き過ぎた相続税対策は認められない

高齢の親が亡くなる直前にタワーマンションを購入したり、明らかに節税目的の取引を行ったりした場合、税務署から否認されるリスクがあります。

 

遺産分割対策をしておく

不動産は相続税対策として優れていますが、「分割しにくい」という面もあります。相続人が複数いる場合は遺言書の作成や複数の不動産を用意するなど、事前の調整が重要です。

 

まとめ

いかがだったでしょうか? 土地・建物を始めとする不動産は、現金で持っているよりも相続税評価額が下がり相続税対策になります。さらに賃貸物件として利用すると、税制面で優遇措置を受けることができ、相続税対策はより一層減額できる仕組みです。賃貸不動産から家賃収入も得られ、土地活用として不動産経営をするメリットは大きいといえるでしょう。しかし、しっかりとしたプランニングをしないと思いがけない失敗をする可能性もあります。実際に行うときは専門家等によく相談されるとよいでしょう。

 

 

宮路幸人

税理士