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不動産投資や資産運用では、税金や社会保険料などのコストを削減するため、資産管理会社やマイクロ法人の設立が推奨されることもあります。本コラムでは、資産管理会社等を設立するメリットやデメリットのほか、法人の設立が向いている人の特徴や具体的な設立手順を解説します。

資産管理会社・マイクロ法人の設立手順と必要な手続き

(画像:PIXTA)
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ここでは、資産管理会社やマイクロ法人を設立するための手順を紹介します。法人設立手続きは会社の形態によって大きく異なりますが、ここでは株式会社の設立方法を解説します。

 

法人設立の基本的な流れ

株式会社設立の流れを簡単にまとめると、次のようになります。

 

株式会社設立の流れ

①定款の作成

②株式発行事項の決定

③株式の引き受け

④出資の履行

⑤設立時役員等の選任

⑥設立経過の調査

⑦登記

 

そもそも会社設立とは、会社という目に見えない存在に対し、権利・義務の主体となる「法人格」を付与する手続きであり、法律で定められたステップを踏む必要があります。

 

以下からは、特に注意すべき定款の作成や登記手続き、設立後の手続きを取り上げて解説します。手続きを誤ると、設立までに時間がかかってしまうだけではなく、設立自体が無効とされてしまう可能性もあるため、司法書士や弁護士などの専門家に依頼すると良いでしょう。

 

定款の作成と公証役場での認証

資産管理会社等を設立する際には、まず定款を作成しなければなりません。定款とは、会社の形態(株式会社、合同会社など)、会社の名称(商号)、本店所在地、事業目的、出資金の額、会社設立日、役員、株主構成など、会社運営の基本ルールを定めた重要な書類で、「会社の憲法」とも呼ばれます。

 

作成した定款はそのままでは効力をもたないため、公証役場に持ち込み、公証人による認証を受ける必要があります。認証を受けた定款は、後の登記手続きなどで必要となる法的な書類となりますので、内容に誤りがないよう、慎重に作成することが求められます。

 

出資金の払い込み

定款の認証を終えた後は、会社設立に必要な出資金の払い込みを行います。出資金は、法人名義の口座がないため、会社の資本金として代表者個人の銀行口座に振り込みます。この際、振込明細や通帳のコピーなどを用いて「払込証明書」を作成し、設立時の登記申請に添付します。

 

金融機関等から借金をし、一時的に出資金として振り込んだのち、会社設立後にこのお金を引き出して返済に充てる「見せ金」行為は、判例により禁止されているため絶対にやめましょう。

 

法務局での法人登記手続き

出資金の払い込みを終えたら、法人登記の手続きに入ります。定款、設立登記申請書、払込証明書、印鑑届書、役員の就任承諾書などの必要な登記書類を揃えて、所轄の法務局に提出します。郵送やオンラインでの申請も可能ですが、不安な場合は窓口で申請を行いましょう。

 

この登記手続きが完了することで、会社は正式に法人格を取得し、資産管理会社やマイクロ法人としての活動を始めることが可能になります。提出書類に不備があると受理されず、再提出になる場合もありますので、書類の内容は事前によく確認しておきましょう。

 

税務署・都道府県税事務所への届出

法人登記が完了したら、速やかに税務署や都道府県税事務所、市区町村の役所などに対して、法人設立届出書や青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書など、各種届出を提出します。

 

これらは法人として税務処理を行うために必須の手続きであり、提出期限も定められているため注意が必要です。特に青色申告を活用することで、税務上の優遇を受けられる可能性があるため、早めに手続きを済ませることをおすすめします。

 

社会保険・労働保険の手続き

法人として従業員を雇用する予定がある場合には、社会保険や労働保険への加入手続きも必要です。たとえ家族を役員にして給与を支払う場合でも、社会保険の対象となる可能性があるため、事前に要件を確認しておくことが重要です。

 

これらの手続きは年金事務所や労働基準監督署、ハローワークなど複数の機関で行う必要があり、非常に煩雑です。しかし、これらは法令上の義務であり、適切に対応しなければ罰則の対象となることもあるため、早めに準備を整えておきましょう。

 

 

 

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