(※写真はイメージです/PIXTA)
次に買う「住まい」
現在、Aさん夫妻は「次に買う住まいは、身の丈に合う、現実的に返せる範囲で」と話しています。 具体的には、
・資金計画において“ボーナス返済ゼロ”
・固定費が月収の3割以内に収まる家
・将来の教育費や老後資金も踏まえたうえでの“持ち家設計”
を検討中とのことです。また、ファイナンシャルプランナーのアドバイスを受けながら、NISAやiDeCoなどの資産形成も始めました。住宅費を見直したことで、毎月の固定費が30万円以上圧縮されました。その分、将来の教育費や老後資金への積立が始められるようになり、これまで貯まらなかった貯金は、いま、毎月確実に増えていっています。
「お金の使い方って、習ったことなかったから……。もっと早く知っていたら、違う選択肢もあったのかもしれない」
「以前は、“タワマンに住む自分”を守るためにお金を使っていた気がします。でもいまは、“未来の家族”のためにお金を使えている。この感覚が、なにより嬉しいんです」Aさん夫婦は穏やかな笑みを浮かべていました。
年収の多寡では決まらない「本当の豊かさ」
高所得だったAさん夫婦が、なぜ“生活困窮”に陥ったのか。最大の要因は、「見栄にお金を使っていた」ことに気づけなかった点です。
・「タワマンに住んでいる自分」が、誇らしかった
・「インターに通わせている子ども」が、賢く見えた
・「高級外車に乗る夫婦」が、ステータスになっていた
しかし、それらは本当に必要なものだったのでしょうか。
Aさん夫婦の経験は、豊かさが年収の多寡で決まるものではないことを教えてくれます。大切なのは、生活に無理がないか。お金を使うときに納得しているか。そして、自分たちの価値観とお金の使い方が一致しているか。
いま、あなたの家計は「誰かに見せるためのもの」になっていませんか? “豊かに見える”暮らしではなく、“本当に満たされる”暮らしとはなにか。一度立ち止まって考えてみることが、家計と人生を見つめ直す第一歩になるのかもしれません。
伊藤 貴徳
伊藤FPオフィス
代表