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基調的な物価上昇の広がりと持続性
注目すべきは、エネルギーや生鮮食品といった価格変動の激しい品目を除いた「コアコアCPI」が前年同月比で3.3%上昇している点です。コアコアCPIは、より基調的な物価動向を示す指標とされ、ここまで高水準が持続するのは異例です。とくに調理食品(6.4%上昇)や外食(4.4%上昇)、宿泊料(7.5%上昇)など、サービス分野でも物価上昇が見られることから、企業の人件費や仕入れコストの転嫁が進んでいる可能性があります。
また、前年同月比での上昇幅を分析しますと、食料分野の寄与度が1.84と全体の半分以上を占めており、家計にとっての体感インフレは実際の数字以上に強い可能性があります。これに対し、家庭用耐久財の上昇幅は縮小しており、消費者の節約志向が一部の耐久消費財の需要を抑えていることが伺えます。
過去の推移と比較しても、2023年以降の物価上昇は一時的ではなく、構造的な側面も見え始めています。円安傾向や人手不足を背景としたサービス価格の上昇、そして企業の価格転嫁姿勢の定着がその一因とされています。
物価上昇が継続するなかで、実質賃金の伸びが追いついていないという声もあります。家計調査などの別データを照らし合わせる必要はありますが、物価上昇と実質所得の乖離が拡大すれば、消費の鈍化が景気にブレーキをかける懸念も。今後は日銀の金融政策や政府の補助金措置がこうした物価動向にどう影響するか、注目が集まります。
[参考資料]