誰もが羨む富裕層の暮らし。しかし、実際に多額の資産を持つ人々の中には、その富をひけらかすことなく、むしろ積極的に隠して生活を送る道を選ぶ人が少なくありません。彼らはなぜ、富を隠すのでしょうか? 本記事ではAさんの事例とともに、富裕層の実態について、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
お金持ちじゃないふりをしています…年金17万円・大地主の65歳次男「資産億超え・月200万円の不労所得」も、20年来恋人にもひた隠し・地味暮らしを装う理由【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

SNS型投資・ロマンス詐欺が激増

令和7年5月に警視庁内の組織犯罪対策第二課・生活安全企画課が公開した「令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」をみていきましょう。

 

特殊詐欺の定義として、「被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪(現金等を脅し取る恐喝及びキャッシュカード詐欺盗を含む)の総称」とあります。令和6年の特殊詐欺の認知件数は2万1,043件にも上り、被害額も718.8億円と多く、いずれも前年に比べて増加しています。1日当たりの被害額は実に1億9,639万円、既遂1件当たりの被害額は350.3万円とも発表しています。

 

出所:警視庁組織犯罪対策第二課・生活安全企画(https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2024.pdf)
[図表1]平成27年から令和6年までの特殊詐欺の認知件数、被害額の推移 出所:警視庁組織犯罪対策第二課・生活安全企画(https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2024.pdf)

 

また、被害は大都市圏に集中しており、東京都3,494件、大阪府2,644件、神奈川県1,999件、埼玉県1,586件、愛知県1,469件、兵庫県1,445件、千葉県944件となっており、総認知件数に占めるこれら7都府県の合計認知件数の割合は6割を超えています。

 

詐欺の手口もさまざまです。オレオレ詐欺、預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗(以下3類型を合わせて「オレオレ型特殊詐欺」という)の認知件数は1万413件、被害額は502.2億円で、総認知件数に占める割合は5割に迫っています。ほかにも還付金詐欺、架空料金請求詐欺、パソコンのウイルス除去のサポート名目で電子マネー等をだまし取るサポート名目詐欺、といったものもあります。

 

出所:警視庁内の組織犯罪対策第二課・生活安全企画課(https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2024.pdf)
[図表2]令和に入って右肩上がりの、手口別(詐欺)認知件数の推移 出所:警視庁内の組織犯罪対策第二課・生活安全企画課(https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2024.pdf)

 

そして、急増しているのがSNSを使った投資・ロマンス詐欺です。令和6年のSNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数は10,237件で、前年に比べて実に6,391件の増加となっており、被害額は1,271.9億円で、こちらも前年に比べて816.8億円増と認知件数、被害額ともに著しく増加している状況です。

 

発表資料では、SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺を次のように定義しています。

 

SNS型投資詐欺:SNS等を通じて対面することなく、交信を重ねるなどして関係を深めて信用させ、投資金名目やその利益の出金手数料名目などで金銭等をだまし取る詐欺(SNS型ロマンス詐欺に該当するものを除く)

 

SNS型ロマンス詐欺:SNS等を通じて対面することなく、交信を重ねるなどして関係を深めて信用させ、恋愛感情や親近感を抱かせて金銭等をだまし取る詐欺

 

「自分は絶対に騙されない」と思っていても騙されてしまうのでしょうか。