(※写真はイメージです/PIXTA)
養育費を「払う気がない」元夫の思惑
埼玉県在住の佐藤香織さん(仮名・42歳)は、3年前に夫の浮気を理由に離婚しました。当時小学校低学年だったひとり息子の親権は香織さんが持ち、夫・浩一さん(仮名・45歳)は「月9万円」の養育費を支払う約束で離婚協議書にサインしました。
浩一さんは大手企業に勤めるサラリーマンで、離婚当時は月収47万円、年収は750万円ほど。養育費を支払っても生活に大きな支障が出るわけではないはずでしたが、1年ほど前からはほとんど振り込まれることがないといいます。「今月ちょっと厳しい」「ボーナスが出たらまとめて払う」と言い訳が続き、ここ半年ほどは音信不通に。
香織さんは「子どものためのお金です。使うのは、塾代や学用品、成長とともにかさむ衣服代です。贅沢なんてしていません」と語ります。しかし、家庭裁判所に申立てをするには時間も手間も費用もかかります。子育てをしながら親子2人で生活する香織さんにとって、それは簡単なことではありませんでした。
厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告』によると、母子世帯で「養育費の取り決めをしている」と回答したのは46.7%。また現在の養育費の受給状況については「現在も受けている」が28.1%、「受けたことがある」14.2%、「受けたことがない」56.9%。「受けたことがある」には、養育費の支払期間が終了したケースはもちろん、「取り決めを行ったにも関わらず、支払われなくなった」というケースも含むでしょう。香織さんのようなケースは、珍しいことではありません。
浩一さんは、大企業で働き、収入は安定しているはず。それなのに、なぜ、養育費を滞納し、さらに音信不通になったのでしょうか。
養育費請求権には時効があり、原則として5年間、裁判所の手続きで決まった場合は10年間となります。