(※写真はイメージです/PIXTA)
生活が苦しいという母親のために…仕送りすること四半世紀
田中一郎さん(仮名・48歳)。都内で働くごく普通のサラリーマンです。妻と子ども2人の4人家族。月収は約50万円で、妻がパート勤めをして家計を支えるという、よくある家族です。ただし1点をのぞいては。それは実家でひとり暮らす母親(72歳)への仕送りです。田中さんが大学を卒業して就職した23歳から、実に25年間。毎月欠かさず仕送りを続けていました。
初めは初任給からほんのわずかな金額。ここまで育ててくれた親への、せめてもの恩返し。そんな思いで始めたものでした。しかし昨今は、物価高により生活が苦しいらしく、月5万~10万円程度を仕送りしているのだとか。
「正直言うと、私たち家族だけで精いっぱい。しかし『生活が苦しい』と言われると、お金を送るしかないじゃないですか」
厚生労働省『令和4年 国民生活基礎調査』によると、親に仕送りをしている世帯は全体の1.9%とかなりの少数派。2022年の総世帯数が5,431万世帯なので、100万世帯ほどが親に仕送りをしていることになります。数にすると、結構な世帯数です。
また仕送り額をみていくと、1世帯当たり平均8.0万円。仕送り額の分布をみると、「月2万~4万円未満」が最も多く、親に仕送りをしている世帯の29.9%。「4万~6万円未満」が20.4%と続き、「月10万円以上」という世帯も18.8%を占めます。
母親の収入は年金のみで、月10万円。持ち家で家賃はありませんが、毎月ギリギリだといいます。特に母親から直接お金の無心があるわけではありません。お金を振り込むと毎回「今月も悪いね」とお礼の電話が入り、それでもお金が足りない場合は「今月は生活が苦しい」と言ってくる。その繰り返し。そのため仕送りが月10万円くらいになることもあるというのです。