子どもの健全な成長や幸福を最優先に考える原則「子の利益」が見直されつつあります。離婚等の理由で損なわれる「親族との交流」の対象に祖父母を含むことはできるのでしょうか。本記事ではAさんの事例とともに、子の離婚に伴う祖父母と孫の交流について、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
愛する息子は突然に…嫁は「もう赤の他人なので」と残し、孫とともに退散。ひとりぼっちで置き去りにされた60代母が、慟哭の中で残した〈一通の手紙〉【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

心と生活の変化

Aさんは、嫁と孫に一通ずつ手紙を書いて、自分の気持ちを伝えることに。書きながら、思いが高ぶり、Aさんは声をあげて泣いてしまいました。孫宛ての手紙には、「お返事ちょうだいね。どれだけ大きくなったか見たいから写真も送ってね」と添えましたが、いまのところ二人からは返事がありません。

 

「もしかしたら手紙は読まれていないかもしれません。ですが、誕生日には小さなものでもプレゼントを送っていきたいです。孫が大きくなったときに、私を思い出して連絡をくれることを願って待ち続けます」とAさんはいいます。

 

それから、Aさんの生活も少し変化しました。嫁と孫が出て行ってから家に引きこもってばかりいたものの、「将来、孫の進学などでお金が必要になるかもしれない。もし、会いに来てくれたら元気な姿を見せたい」と思うように。Aさんの年金は月額12万円程度。生活費の足しになれば、生活に張り合いが持てればと、パートとして働きはじめたようです。

 

身体を動かすことや人との交流は、寂しさを和らげるだけでなく、心身の健康を保ち、日々の充実感を高めることにつながるでしょう。66歳はまだ若いといえる年齢です。一人でも豊かな人生を歩んでいってほしいですね。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表