総務省統計局が5月27日に公表した『住民基本台帳人口移動報告』。2025年4月の日本国内の人口移動は、全体的に前年同月を下回る減少傾向を示しました。市区町村間、都道府県間、都道府県内のいずれの移動者数も落ち込み、「日本人が動かなくなった」という衝撃的なデータが浮き彫りになりました。
日本人だけが「動かない」不穏なデータ…「東京一極集中」に異変、知られざる人口移動の最前線 (※写真はイメージです/PIXTA)

「消える地方都市」の現実…統計が暴く、地域活性化の限界

21大都市全体では、2025年4月の転入超過数は1万6,379人。前年同月の1万8,254人から減少しました。多くの政令指定都市で人の動きが鈍化しているのは明白です。

 

個別の都市を見ると、東京都特別区部は依然として7,667人の転入超過ですが、前年同月からは3,841人も減少しています。そして、横浜市が増加に転じた一方で、札幌市や仙台市など、地方の主要都市でも転入超過数が減少しているケースが散見。「地方主要都市も安泰ではない」という厳しい現実を突きつけました。

 

さらに深刻なのは、広島市(904人)や北九州市(238人)のように、「転出超過」が止まらない都市が多数存在すること。これらの数字は、地方の政令指定都市が直面する「人口流出」という深刻な課題、そして、政府がいくら号令をかけても、なかなか進まない「地域活性化の限界」といえるかもしれません。

 

今回の調査は、日本全体の人口移動が縮小傾向にあるなか、外国人住民の移動が活発化しているという「特徴的な動向」を明らかにしました。そして、三大都市圏のなかでも、東京圏への集中がやや緩やかになる一方で、大阪圏では外国人頼みで転入超過数が増加するなど、「地域によって異なる様相」を呈していることが浮き彫りに。今後も人口構造の変化が社会経済に与える影響を深く分析していく必要がありそうです。

 

[参考資料]

総務省統計局『住民基本台帳人口移動報告 2025年(令和7年)4月分』