高齢化が進む現代社会で、一人暮らしの高齢者が抱える不安は深刻さを増しています。特に「もしものときに誰にも気づかれないかもしれない」という孤独や、日常生活のちょっとした困難が「命の危機」につながりかねない現実。多くの人が「今の住まいで本当に大丈夫なのか」と悩み、住み替えを真剣に考え始めています。高齢者の住み替え事情について、最新調査から紐解いていきます。
(※写真はイメージです/PIXTA)
人気は「シニア向け賃貸」 一方で「購入志向」も根強く
住み替え先の希望として最も多かったのは、「シニア向け賃貸住宅」(34.2%)。次いで「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」が27.2%、「シニア向け分譲マンション」が22.1%という順でした。
賃貸を選ぶ理由としては、「身軽に動ける」「初期費用が少ない」「将来の変化に応じやすい」といった点が考えられます。一方で、購入志向も一定数いて、とくに同居世帯では分譲住宅を希望する割合が高く、「資産として残したい」「子どもに住まいを引き継ぎたい」という気持ちがあるのでしょう。
ちなみに、一人暮らしの場合、「一般の賃貸住宅」も一定の人気がありました。希望と現実の間で、何を重視するかは人それぞれ、ということでしょうか。
暮らしやすさ、安心感、誰かとのつながりなど、すべてを含めて、「どこに、どう暮らすか」という選択がある、高齢者の住まい。高齢期は、生活環境のちょっとしたことが大きな安心や不安に直結する時期。だからこそ、「最後の住み替え」は、特にこだわりたいもの。今後の高齢社会において、誰もが「自分らしい住まい」を見つけられるような仕組みの整備が求められています。
[参考資料]