SNSを通じた詐欺被害が過去最悪の水準に達し、特に40~60代の世代が新たなターゲットとなっています。なぜ今、働き盛りの中高年層がSNSをきっかけに騙されてしまうのか。警察庁が発表した最新の統計データや、被害の現場で起きている実態をもとに、その理由と背景をみていきます。
詐欺被害「過去最悪」と警察庁発表…今、40~60代がSNSで騙される理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

まさかの急増、詐欺被害は過去最大規模に

「SNSで知り合った人に投資をすすめられて――」

 

そんな話を耳にしたことはありませんか? もしかすると、それは詐欺かもしれません。 警察庁が発表した2024年の詐欺被害に関する統計によれば、特殊詐欺に加えてSNSを使った「投資・ロマンス詐欺」が急増しています。思わず「自分は大丈夫」と思いたくなりますが、数字が語る現実は想像以上に深刻です。

 

まず注目したいのが、いわゆる「特殊詐欺」の認知件数。2024年には21,043件にのぼり、前年より約2,000件も増加しました。被害総額も717.6億円と、なんと58%以上の増加です。これは1日に換算すると、約2億円が詐欺で失われている計算になります。

 

なかでも多かったのは、やはり「オレオレ詐欺」です。息子や孫をかたって電話をかけ、事故やトラブルをでっち上げて金銭をだまし取るという古典的な手口。にもかかわらず、今なお多数の人が引っかかってしまうのです。

 

「自分は引っかからない」と思っていても、詐欺師は常に「人の不安」や「親心」を巧みに突いてきます。詐欺の舞台は電話口、そして次に訪れるのが、キャッシュカードの受け渡しや銀行振込。気づいたときにはもう手遅れ、ということも少なくありません。

 

また注目すべきは「SNS型詐欺」。LINEやInstagram、FacebookといったSNSを通じて被害者に近づき、恋愛関係や投資話を匂わせて信用させ、多額の金銭をだまし取るというものです。警察庁によると、SNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数は1万件を超え、被害総額は1,200億円以上。前年比で2倍以上の増加であり、これはまさに「爆発的な拡大」と呼べるでしょう。

 

特に「SNS型投資詐欺」は、1件あたりの被害が平均1,300万円を超えています。実際には500万円を超える被害が多数を占め、その合計被害額は93%以上にも及びます。高額投資の話に乗せられてしまった結果、人生を揺るがすような損失を抱える人も少なくありません。