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「一人暮らしの高齢者」ならではの不安
「このまま今の家で暮らしていけるのだろうか」
そんな不安を、ふとした瞬間に感じる高齢者は少なくありません。年齢とともに、家の段差が気になったり、買い物や病院への距離が負担になったり。あるいは、一人きりの時間が長くなって、何かあったときに誰にも気づかれないかもしれない、という漠然とした不安もあるようです。このような「暮らしの将来」をどう考えているのか──。
株式会社LIFULL senior/LIFULL 介護が65歳以上の一人暮らしと、その家族や親族等を対象に行った『住み替えに関する意識調査』によると、「住み替えを考えているか?」という質問に対して、全体の33.9%が「はい」と回答しました。一人暮らしに限ると、その数は43.4%にまで跳ね上がります。これは、同居者のいる人(24.4%)に比べて、2倍近い数字です。「今は何とかやれていても、これから先は分からない」と感じているケースが多いから、と考えられます。
では、なぜ住み替えを考えているのでしょうか。理由として多く挙がっていたのが「健康状態の変化」や「支援者の不在」、そして「車がないと生活できない環境への不安」といったものでした。特に一人暮らしの場合は、「自宅で倒れても誰にも気づかれないのが怖い」と答えた割合が66.3%。想像すると胸が締めつけられるような気持ちになります。
一方で、同居者がいる人たちは、家族やパートナーが日常的に様子を見てくれるためか、「支援者がいないことへの不安」を感じる割合は低め。やはり「誰かがそばにいる」というのは、それだけで心強いことであることがわかります。
さらに、高齢者はどんな場所に住み替えたいと思っているのでしょうか。希望の条件として最も多かったのは、「家賃や管理費が予算内であること」。特に一人暮らしでは、費用面の制約がよりシビアなようで、現実的な視点が垣間見えます。
それに対して同居世帯では、「車がなくても暮らせる場所」や「バリアフリーの設備が整っていること」など、利便性や安全性を重視する声が目立ちました。家族全員が過ごしやすい環境を考えると、そうした条件が自然に出てくるのかもしれません。
また、「高齢者というだけで入居を断られそう」という不安も多く挙げられていました。一人暮らしでは特に顕著で、保証人の不在などがハードルになっているケースも多いようです。